財界では「ソフトバンク」の孫正義さんも声の使い分けに長けています。いくつか映像を見ると、生い立ちなどプライベートを語るときには低い声でボソボソと非整数次倍音で話して親密感を与え、プレゼンの場では整数次倍音の強い高い声になってカリスマ性を前面に押し出しているのがわかります。
もっとも、意識的ではないにしろ、倍音を変化させることは誰でもしています。たとえば、激昂したときに出るのは非整数次倍音のドスの利いた声。その点で珍しいのは橋下大阪市長です。彼はカリスマ性のある整数次倍音の声でラディカルな言葉を口にするので、その発言にはインパクトがあるのですが、怒ったときもその整数次倍音のまま。その変化のなさも、彼のキャラクターといえるでしょう。
声の響きは非常に重要です。自分の声の質を考えて言葉を選べば、会話も人間関係も円滑になるはずです。