「専業主婦スキル」がお金になる
定数を変える努力をしても、疲弊するだけです。確かに、恵美さんはPCスキルも、現代のビジネスルールも知りません。20数年ぶりに社会に復帰するのは困難ですが、実は今の時代、専業主婦のスキルが求められているといっても過言ではないのです。事例を紹介します。
私の知人で73歳になるスーパー主婦だったA子さんは、富裕層の介護兼家政婦をしておられます。その方は、ご主人と理髪店を経営されていましたが、昨今の格安理髪店の出現で経営難に陥っておりました。その後、2020年のコロナ渦の影響で、経営は完全に断念、夫婦揃って転職をしました。
A子さんは、売り上げが落ちたころから家政婦紹介所を通じてパートで家政婦をしており、家計を支えていましたので、所長に話して仕事を増やしてもらったそうです。
A子さんは本当に働き者で、一日中腰をかけることなく動き続けていました。また、お料理も上手で何より早い。理髪店で散髪をする合間に、料理・掃除をしていたので、要領よく家事をすることが身についたのでしょう。
A子さんの働きぶりは評判で、所長から「ある著名な方が、自宅介護を望んでいる。あなたを推薦したいのだけど、介護の資格を取得してもらえないか」と相談を受けました。チャレンジ精神があるA子さんは、即資格を取得。ある著名人のお宅で介護を担当したのです。
年収は“約700万円”で、夫の倍
その方がお亡くなりになるまで担当をし、現在はまた違う著名人の方を担当しております。多くの方が「終の棲家は自宅で」と願っていますが、なかなかそれは叶いません。それは費用がかかるからです。しかし、富裕層の方は介護費用を賄う資金力があります。24時間体制で、3人交代制で行う現場があるそうです。
勤務は8時間拘束で週に5回、早番と深夜見守りです。かなりきついかと思いましたが「深夜はお休みになっているから、読書タイムもあるのよ」と笑っていました。
一方、A子さんの勤務先となる「お相手」との相性が合わないと“即クビになる”……などという厳しさはあるそうですが、年収は約700万円で「夫の倍よ」とのこと。家庭では「無能」と言われることも多い主婦業で、そんなにも稼げるのかと目から鱗でした。
今までは、専業主婦の方が仕事をみつけるハードルは高かったのですが、時代は大きく変わり、専業主婦のスキルそのものが求められています。また、「介護」の仕事を掛け算することで価値がさらに大きくなります。努力次第では富裕層のお客様がつき、ギャランティも破格になる可能性を秘めています。