▼阪部哲也さんからのアドバイス
一般的にキャリアアップに必要なスキルは、1にIT、2に語学、3に会計といわれています。たしかにこうしたスキルを若いうちに身につけておけば役に立つでしょう。ただ、ある程度の年齢になれば、普遍的なスキルより、各論を突き詰めていくほうを私は選びます。
たとえば同じ医療系でも、製薬会社の営業マンにM&Aの知識は必要ありませんし、開業医が英語を学ぶ必要性も低い。自分はこれでやっていくという業種や職種が見えてきたら、それぞれの専門知識を突き詰めたほうがキャリアアップにつながりやすいと思います。
30代後半や40代になれば、自らの人間性を振り返る必要性も出てきます。人はスキルによって採用されますが、躓くときは人間性。マネジメント職ともなれば、その傾向が強まるので、気をつけたいところです。
私自身も、未熟な自分に必要な勉強として、意識的に人生哲学の本を読むよう心掛けています。読むのは、風呂から上がった後、ベッドに入って眠りにつくまでの間です。
懸命に仕事をしていれば、精神にも疲れが溜まります。それを翌日に持ち越すと、時と場合によっては会った人に悪影響を与えてしまう恐れがあります。この悪循環を断ちきるために、1日の終わりに人生哲学の本を読んで自分の心を修正するのです。
よく手に取るのは、稲盛和夫さんの本や月刊「到知」です。ときに消化不良になるくらいの深い内容が書かれていますが、構えずにリラックスした状態で読むと、内容がズシンと心に入って気持ちよく眠りにつけます。おすすめです。
1973年、奈良県生まれ。同志社大学法学部卒後、旧富士銀行、不動産会社、リクルートエージェントなどを経て、エグゼクティブサーチファームであるKANAEアソシエイツ設立。「日本ヘッドハンター大賞」金融サービス部門で最優秀賞受賞(2011年)。