こういう自分の夢や希望を明らかにすることが大前提。それを実現するための手段として、後からクローズアップされるのがお金である。
「例えば医者になりたければ、どうお金を貯めるべきか。バイトはどうするか、学資保険や奨学金、特待生といったシステムをどう使うか……といった具合に、自分の目標の中で経済的な問題を一緒に考えていくことで、お金の活きた使い方がわかってきます」
マーケットの片隅で小金を貯めるより、大切なのはお金が世の中をどう循環していくかを知ること。そのためにはまず、貯め方より使い方を学べ、というわけだ。自分で資格を取る、他人の夢の実現を手伝う、等々、使い方は個々の価値観次第で千差万別だ。
「それがモチベーションとなって、殖やすためのアイデアも出てきます。そういう意味では、“使う”と“殖やす”は車の両輪ですね」
本来、お金は“よく生きる”ための手段である。しかし蓄財・利殖を目的に据えてしまうと、人生の目標を立てる前にお金しか目に入らなくなる。これが諸々の間違いのもととなる。
では、お金の「使い方」はどのように教えればよいのか。
川口氏によれば、米国で子どもの投資教育で使う貯金箱には、コインの投入口が4つあって、各々に貯める=save、消費のため、欲しいもののために使う=expend、投資=invest、そして寄付=donateと名がついている。
「同じ100円玉でも、自分の手を離れた瞬間、その使い道にはいろんな意味の違いがある。この貯金箱はそれを教えてくれるんです。単に倹約するだけではなく、自分のお金がどうすれば活きた使われ方をするのか、巡り巡って社会のためになっていくことをちゃんと教えていく必要があります」
その際に、必要=needと欲しい=wantの違いをしっかりつけておくことが肝要だという。