“右翼雑誌”を作り続けるワケ
【梶原】花田編集長時代の『週刊文春』は、婚約を発表していた貴乃花と宮沢りえが破談するというスクープを報じていましたが、あれは何週でしたっけ。
【花田】5週……。ただあの時は、2人を祝福する報道ばかりだった中で、「実は破談になりそうだ」とのスクープ情報が持ち込まれて、実際に破談が発表されるまでの間報じていたということだから。
【梶原】話が表に出たことが、破談の最後の一押しになったかもしれない。雑誌の影響力というのはそういうことで、例えば雑誌が安倍政権を推したことで政策や日本の行く末に影響が出るのではないかと。
あえて聞きますが、雑誌を通じて影響力を及ぼそうとか、世の中を動かそうという意図はないですか。
【花田】全くない。もちろん結果的にたまたま影響が及ぶということはあるでしょうけれど、あくまでも雑誌を多くの人に読んでもらいたい、ぼくが面白いと思ったことに共感してほしいという、それだけですよね。
読者の共感が喜び
【花田】だから「俺たちの追及で政権が倒れた!」と誇るようなこともないし、実際に雑誌に記事が出たことで政権が倒れたこともないしなぁ(笑)。田中健五さんがやった田中金脈は例外で。
基本的には、読者が読んでくれる、雑誌を買ってくれるっていうのが、編集者や雑誌に対する評価だから。
【梶原】「売らんかな」だ、という人もいますが、それは「儲けたい」のとは違いますよね。
【花田】違うなあ。もちろん続けるためには利益も大事だけれど、今だって売れてもぼくの報酬が上るわけじゃないしね。「多くの読者が読んで共感してくれる」ことに喜びがあるんだよ。