3点目は、twitterやブログに書きたくなる仕掛けをつくることです。

渋谷店のライブマネキン。“本物”に見えるようメークも徹底した。

銀座店のオープン時は、FOREVER21スタッフのとっさの機転に助けられ、消費者の視覚に訴えるPRが功を奏しました。10年8月にオープンした渋谷店では、これをふまえて目で感じたことを人に伝えたくなる仕組みまでつくろうと考えました。

実践したのは“ライブマネキン”というアイデア。ショーウインドーに、生身の女性モデルをマネキンに見立てて陳列するという仕掛けです。

目を凝らして見なければなかなかわかりませんが、本物の人間なのでときどき動きます。これに気づいた渋谷の道行く女性たちが反応し、携帯電話のカメラで撮影を始めました。一度人が立ち止まったらしめたもの。人が人を呼び、あっという間に人だかりになりました。特に女性には、携帯電話で撮影したものをtwitterやブログ、メールを使って友人たちに広げたいという習性があります。噂は倍々に広まり、瞬く間に店頭の行列へと繋がったのです。

FOREVER21は11年4月にららぽーと横浜店をオープンさせたのですが、その際は男性モデルを中心にライブマネキンを行ってみたところ、渋谷店のときを上回る女性客に撮影されました。twitterや携帯メールには、互いが離れていても体験をリアルタイムで共有できる効力があるのです。

最後のポイントは、「悪い口コミ」にどう対応するかです。これが蔓延すると、行列はおろか企業に致命的なダメージを与えかねません。

「悪い口コミ」には2種類あります。1つはたとえば“2ちゃんねる”などに見られる罵詈雑言やクレーム。これを防ぐには、PRだけではなく、店頭における顧客対応からクレーム対応まで一貫した姿勢を持つことが重要です。そのためには、企業のトップから販売員、電話対応のスタッフまでが顧客に対して同じ熱量で接すること。これはPRの成功のために何より必要な要素です。

もう1つが「飽きられる口コミ」。最初の反響が大きいほど、飽きられるスピードは速いというのが常です。

飽きさせないためには、露出を絶やさないよう新しい話題を提供し続けなければなりません。FOREVER21は2012年、福岡でH&Mと同じ商業ビルで同時にオープンしました。競合他社と同時オープンというのは、おそらく前代未聞だと思います。

行列をつくるためには、秘訣こそあっても絶対的な法則はありません。しかし、何より大切なのは誰もやっていないことを情熱をもってやること。そうすれば自ずと消費者に伝播し、口コミの渦が起こるのです。

WAG代表/エファップ・ジャポン学長 伊藤美恵
1944年、東京生まれ。85年にPR、ブランドコンサルティングを手がけるWAGを設立。2003年4月には、広報・PRのプロを養成する「エファップ・ジャポン」を設立し、学長に就任。09年にフランス政府より藝術文化勲章シュヴァリエを受章。著書に『情熱がなければ伝わらない!』がある。
(構成=内田正樹 撮影=若杉憲司)
関連記事
なぜ最新トレンドのスカートが1380円で買えるか
なぜ、コストコでは米国サイズの雑貨が飛ぶように売れるのか
4カ月で1000万人来店「渋谷ヒカリエ」大繁盛の法則
坂本孝社長が振り返る!「俺のフレンチ」誕生の軌跡
売り上げ3倍「山スカート」はなぜ、女心をつかめたか