世界中が注目した「ポモドーロ・テクニック」
朝、弁当を作ったあと、オードリーはどのように1日の仕事をこなしているのだろうか?
まず、出勤前にLINEを確認し、退勤後にもう一度確認する。しかし、勤務中は決してLINEを見ない。LINEでもワッツアップ(WhatsApp)でも、多くの人は深く考えずにメッセージを送り合い、互いの注意力を奪いつつ文字の入力に多くの時間を費やす。
文字を打ちながら文章を考え、さらにリアルタイムでの返信を求められる状況では集中力が削がれ、一つの物事を効率よく処理することが困難になる。だから1日に2回しかLINEを開かない。自分に伝えたいことがある人には、じっくり考えてから伝えてもらうようにすることで、自分の時間を浪費せずにすむからだ。
仕事を始める前に、ポモドーロ・テクニックに基づき、1日の仕事の時間をいくつかの「ポモドーロ」(イタリア語で「トマト」の意)に分けて業務の計画を立てる。
1987年、当時大学生だったフランチェスコ・シリロによって考案されたポモドーロ・テクニックは、「25分間の作業+5分間の休憩」というシンプルな時間管理術だ。
世界中で話題になったポモドーロ・テクニックだが、実は当時の台湾ではあまり関心を集めなかった。2020年にパンデミックが起き、世界中でリモートワークが盛んになったころ、ベテランのリモートワーカーであるオードリーがこのテクニックを活用していることをメディアが報じて、初めて注目を集めるようになった。
5分でメール処理する高速テクニック
タイマーをかけた25分間、オードリーは一つの仕事に集中する。メールは見ないし、スマホの通知や着信にうっかり反応してしまわないよう通知音を切っておく。25分後、一つの「ポモドーロ」が終わったら5分間の休憩とし、この間にメールを確認して返信する。5分間の休憩後、再びタイマーをセットして次の「ポモドーロ」を始める。
このテクニックのよさは、一つの「ポモドーロ」の時間が長すぎない点だ。25分間、メールに返信しなくても相手に失礼にはあたらない。目的はとにかく集中して仕事をすることなので、25分間は決して手を止めてはいけない。
しかし、突然の地震など予測できない事態が起こって仕事が中断したときはタイマーを止めて、次の25分に回す。今日は七つの「ポモドーロ」をこなす予定だったとして、四つ目の仕事が中断されたら、五つ目の「ポモドーロ」を四つ目とカウントする。
5分間の休憩時間に、LINEではなくメールを確認するのはなぜだろうか?
メールは1行書くごとに送信ボタンを押すのではなく、一段落のまとまった文章になって送られてくる。オードリーは25分間の仕事のあと、5分間でメールに返信する。きちんと整理して書かれたメールの文章を読めば、2分以内に処理が可能かどうか瞬時に判断できる。可能なものはすぐに処理し、不可能なものは適任者を探してメールを転送し、対応を任せる。だから、短い時間でほとんどのメールに返信できるのだ。
午後7時までの勤務時間内にすべてのメールに目を通すが、退勤後は自分の時間として一切メールを見ない。これがオードリーの1日の過ごし方だ。自分の時間を自分でコントロールし、時間に振り回されない。できる限り効率的に「今日の仕事は今日終わらせる」のが目標だ。