夫婦それぞれが好きなことをして過ごす週末

私も「こんなに楽しい夫婦二人暮らしの幸せを知らないなんて、もったいないな」と内心思っている。

お互いに自分の選択が一番幸せだと思える世界だったら、こんなに平和なことはない。あなたもそれが一番幸せ、私もこれが一番幸せ、それでいいじゃないか。

他者の選択にケチをつけたり、順位をつけたりしたくなるのは、心のどこかで自分の選択に満足できていないからではないか。

私が「夫婦二人暮らしでよかった」と思うのは、たとえば週末の朝。予定がなければ10時半くらいまで布団でゴロゴロしながら、二人でそれぞれ本を読んだり、スマホを見て無益な時間を過ごしたりするのが、最高に贅沢だと思う。

他にも、思いつきで旅行したり、子供に壊されたり汚されたりする心配をせずに壊れやすい家具を買えたりと、「子供がいたらできなかっただろうな」と思うことがたくさんある。

旅行や買い物といった消費行動に限らず、子育て環境や学校の都合を気にせず好きな場所に住めたり、邪魔されずに本を読む時間が取れたり、仕事で少しリスクのあるチャレンジができたり、習い事に思いっきり打ち込めたりと、人生の幅を広げてくれる要素も多い。

韓国の女性が途上国の子供を支援する理由

「子供がいない人生には深みがない」と言う人もいるが、子供がいないからこそ深められる部分も、確実にある。

こういう話をすると、ますます「子なし夫婦は、子育てに苦労せずに遊んで暮らしてばかりいるキリギリス」的な印象が強まりそうではあるが、私は自由を享受する幸せと同じくらい、誰かのために自分の人生を費やすことも自分自身を幸せにしてくれるのではないかと思っている。

その最たるものが子育てなのだと思うが、子供を持つ選択をしていなくても、「次の世代のために力になりたい」という気持ちは湧いてくるものだ。

韓国の子なし女性たちにインタビューした本『ママにはならないことにしました』(晶文社)に、自分の子供を持つ選択はしなかったものの、途上国の子供を何人も支援し、養っているソヨンという女性が登場する。

彼女は弁護士として働きながら、奨学金団体を作って途上国の女子学生の進学をサポートしている。生活費以外のほとんどの収入をこの奨学金事業に使っているというから驚きだ。

ソヨンは「何よりもこのことから、私自身も心から満たされるものを感じる」と語っている。