「患者や家族に寄り添った病院運営を目指す」
今回、機構に対して情報公開と組織改革の現状について質問したところ、11月21日付で以下のような回答があった(以下、回答書から抜粋)
【情報公開】
・ヒヤリ・ハット事例などの区分について、これまであった裁量の余地をなくし、迅速かつ統一的な基準により、客観的に事実に即して判断するようにした
・個別事案の公表について、患者や家族の同意を前提に、原則として病院独自の判断ではなく区分に応じて決定するよう改正した
・医療事故と疑われる死亡事案が発生した場合、初期対応や家族への対応を適切に行えるよう、基本的な手順を示したフローチャートを作成して共有した
【組織改革】
・こども医療センターに新たに医療安全専従の副院長を配置
・機構本部事務局に新たに医療安全担当部長(看護師)と改革担当局長を配置
・機構本部が主導し、各病院の医療安全に関する議論や情報交換をより頻繁に実施
機構は「患者やその家族に寄り添った病院運営を目指していく」としている。阿南理事長がこども医療センターのみならず、県立病院全体の大改革に剛腕を振るうことを期待したい。
黒岩知事の当時の勢いはどこへ行ったのか
2024年9月の神奈川県議会で、2023年度の機構への評価書が県に提出された。さぞ、改革を期待した厳しい評価が下されているものと期待しながら、評価書を手にした。ところが、その評価は全く素気ないものであった。私が批判してきたこども医療センターの体制についてはほとんど触れられていない。
この評価書は、県が病院機構に対して行った評価について、医療関係者や公認会計士らで構成される評価委員会が建議した結果提出されたものであり、評価委員会委員の姿勢に、私は疑問を持った。しかし、それ以上に県事体がこども医療センターに対して行った評価の高さが気になる。
黒岩祐治知事が2023年度の県議会答弁で「こども医療センターの大改革を行う」と明言したのに、改革の「か」の字も評価書には記載されていない。厳しい指摘や批判も、終わってしまえば、それまでなのだ。全く何事もなかったかのような姿勢である。これでは、新理事長が孤軍奮闘で終わってしまう。