説明で「絶対に」「必ず」はタブーワード

話の価値は聞き手が判断するものです。

子どものためを思って「将来のためにも絶対勉強したほうがいいよ」と一生懸命伝えても、子どもにとっては大きなお世話かもしれません。

子どもに限らず、話を聞いてもらえないときにやってはいけないのは、「絶対に」「必ず」「なんとしても」などの言葉を使うことです。

これらの言葉に含まれる過剰なプレッシャーは、説明をどんどん高圧的に変えてしまいます。

テレビの制作現場は個々の主観がぶつかり合うため、意見の食い違いがひんぱんに起こります。歴戦のプロデューサー、構成作家、新進気鋭のディレクター、そして自己主張の激しい出演者など、アイデア勝負の猛者たちの意見はそれぞれ十分に根拠があって、どれを採用するのか難しい場面もあります。

正解も不正解もないだけに、各々が自分の意見だけに固執すると現場が紛糾します。

そんなときには、まず他人の意見をポジティブに評価します。「もし相手の意見を採用したらどうなるか」を頭でシミュレーションしてみるのです。

また、自分の意見が聞き入れられないときには、自己否定されたと思わないことも重要です。

建設的な話し合いの場にするためにも、「他人の意見をよりブラッシュアップするにはどうしたらいいだろうか?」という意識を持ちましょう。

そうすることで、自分の意見と比較しながら客観視するきっかけになりますし、まず他人の話をしっかり聞くことで、自分の話も聞いてもらえるようになるのです。

やってはいけない典型的な3パターンの説明

まれに、説明を「自分のプライドを満たすためのツール」にしてしまう人がいます。

説明で守らなければいけないのは、「聞き手にとって分かりやすい」ことです。

自分のプライドを満たそうとした途端、分かりやすい説明から遠ざかってしまいます。

次の典型的な3つのタイプに当てはまっていないか確認していきましょう。

①経験談や過去の結果を自慢する

1つ目は、やり方やノウハウを教えてくれるだけでいいのに、いつの間にか自分語りに話がすり替わってしまっている次のようなタイプです。

「私が入社したときはこういうふうに仕事をしてね、そのとき××先輩にこういうやり方を教わってね、そしたら自分でも驚くくらいうまくいってね……」

このような過去の経験談は、役に立つことも多いので、話してはいけないわけではありません。

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しかし、全く関係ない場面で自分語りをしてしまうと、話が長くなるだけでなく、要点がかすんでしまいます。

何より、エピソードトークはイメージが湧きやすいため、聞き手の記憶に残りやすいのです。

本来覚えなければいけない要点よりも、余談であるエピソードトークのほうが記憶に残ってしまうことになり、説明の目的を果たすことができなくなります。