しなくてもいい「悪い反省」

【エミン】株式投資でもしっかりリサーチして、株価が上がるまでのストーリーを描いて投資しても、うまくいかないときもある。それで損したからといって、それだけで自分の投資を否定するべきじゃないよね。もしそれで大損しちゃったのであれば、それはロジックが悪いのではなく、リスク管理の方に問題があったと反省すべきでしょう。

写真=iStock.com/Passakorn Prothien
※写真はイメージです

【木原】正しいプレーをしているのに、負けたという結果だけを見て後悔する人もいますね。たとえば強いハンドを持っていて、場のカードを見ても勝率が高いと判断して強気にベットし続けたのに、たまたま対戦相手がもっと強い役を引いて最後にまくられたような人が、「どこかで降りればよかったかなあ」と悔やむということはよくあるんですよ。そんな必要全然ないのに。

有利なときにポット(参加しているプレーヤーによって集められたチップの総数のこと)を膨らませることができたのなら、最後にまくられたというのは結果論ですから、そこを後悔するのは悪い反省です。

勝った時こそ反省点は多い

【エミン】運の要素は一定程度あるんだから、そこは淡々と受け入れる必要がありますね。

【木原】株でも、予測できない外部環境の変化や災害、事故のようなことで大きな損失を出すこともありますからね。最近だと小林製薬(4967)の紅麹問題がありましたが、あんなケースを事前に予測して回避するなんて不可能です。それで損失を被ったとしても不運だったというしかないと思います。

多くの人は結果ばかりを重視して、負けたときに反省するんですが、むしろ勝ったときのほうが反省すべき点は多いと思いますよ。ポーカーでも、負けたゲームを振り返っても実はそんなに悪いプレーはしていなくて、逆に勝ったときの方がまずいミスをおかしていることは多いんです。

僕自身も、勝ちはしたものの、もっと多くのポットを取れたはずだとか、たまたま運に恵まれて勝てたけれどあれはよくなかったと思えるプレーはたくさんあります。取れるべきものを取り逃すということは、回避できた損失を回避できなかったこととまったく同じことなのですが、多くの人は勝ちという結果にとらわれて、振り返ることをしないんです。