菅元総理との意外なつながり

いっぽう、新・立憲民主党が発足する直前の2020年8月28日、安倍総理が健康問題を理由に辞任を表明。後任の総理、総裁には第2次安倍政権で官房長官を務めていた菅義偉が就任したいっぽう、日本維新の会の幹事長となる馬場伸幸は、2012年12月、旧日本維新の会公認で大阪17区から衆院選に出馬、初当選を飾った。

2014年7月、日本維新の会の分党に際しては、橋下徹大阪市長による新党結成を目指すグループに参加。この年9月、結いの党、日本維新の会の合流により、維新の党の結党に参加し、国会議員団党紀委員長および組織局長に就任。

2015年8月、維新の党の分裂に際し、橋下の新党への参加を表明。10月14日付で、維新の党を除籍処分となった。しかし、馬場ら除籍された162人と、すでに離党した橋下らは、松野頼久執行部の任期が9月で切れているため、処分は無効と主張。

10月24日、独自に臨時党大会を開き、馬場が代表に選出された。12月13日には、おおさか維新の会の幹事長に内定。日本維新の会の幹事長となった馬場は、2020年9月16日に、菅が自民党総裁に選出されたと知り、さもありなんとうなずいた。

〈安倍総理の後任は、やはり側近として長年支えてこられた菅さんしかいない。政策の裏表をすべて理解し、人間関係も熟知しておられる〉

写真提供=共同通信社
日本維新の会の常任役員会であいさつする馬場代表=2024年10月、大阪市

日本維新の会にとって最大の敵とは

菅総理の誕生は、日本維新の会にとっても喜ばしいことだった。自民党の国会議員のなかで、もっとも深い人間関係を築いてきたのが菅義偉だった。

安倍、菅、橋下、松井一郎の4人は、第2次安倍政権が発足後の2013年以降、ほぼ毎年、2回の会食を続けてきた。安倍内閣と維新のパイプ役となったのが菅であり、4人の関係は菅の主導で構築されてきた。

菅が特に親しくしてきたのは、代表の松井と、遠藤敬国対委員長の二人である。馬場もまた、菅と長年にわたり、交流や議論を重ねてきた一人である。そのつながりのなかで、馬場は思っていた。

〈菅さんが理想としている政治を、僕ら維新が頑張っている。菅さんは、われわれのことを、そんなふうに見てくれているのではないか〉

日本維新の会にとって、眼下の最大の敵は立憲民主党である。支持層はほとんどかぶっていないのに、維新が立憲を敵認定しているのには理由がある。

維新の支持層は、国や地方の財政、外交・安全保障、教育、少子化から科学技術、エネルギー、環境問題まで、日本のありとあらゆる状況に危機感を抱いていた。そのなかで、維新に「日本をよい方向に牽引するため頑張ってほしい」「改革をぜひ実現してほしい」と希望を託してくれている。