昭和の女の「従順と怨嗟」

番外編⑦ 陽気な三姉妹、女優としての人生に拍手を 正司照枝

今年91歳で他界した正司照枝は、かしまし娘の次女として陽気な歌声を茶の間に届けた後は、時代劇を中心に活躍。今再放送中の朝ドラ「カーネーション」でヒロイン(尾野真千子)の祖母を演じた姿を忘れない。また「陸王」(TBS)では老舗足袋屋の最古参縫製職人を演じ、職人のプライドを体現。追悼と感謝をこめて。

番外編⑧ 昭和の女の「従順と怨嗟」を背負ってきた大女優 泉ピン子

好き嫌いが分かれるかもしれないが、私は大好き。橋田寿賀子作品で名女優となったけれど、昭和初期生まれの女たちが抱えてきた、悩みも恨みも忍耐も絶望も、ピン子がまるっと引き受けてきた。

主人公の糟糠の妻を演じた「淋しいのはお前だけじゃない」(TBS)は、主人公を演じた西田敏行の追悼もこめて、ぜひ観てほしい(U-NEXTで視聴可能)。健気で従順なピン子の献身的な愛が痛いほど刺さってくるから。

で、最近の出演作「お別れホスピタル」(NHK)もテーマとしては延長線上にあった。長年尽くした夫が終末期治療に入り、衝撃の結末を迎える妻を静謐に演じたピン子。高橋惠子とともに「妻の在り方」を考えさせる名演だった。

もっと観たいと思った女性芸人トップ3

寄り道も多かったが、ようやく本題へ。面白いを超えてうまいなぁと感心したトップ3を発表しよう。男社会で生き抜く若手女性芸人たちにエールをこめて。

3位 卑屈でシニカル、低い自己評価を売りに 吉住

「FM999」(WOWOW)で、希死念慮のあるホーミーの女をコミカルに切なく演じた(というか歌いあげた)のが初見。絶妙な距離感(近くて遠い)が面白かったのは「となりのナースエイド」(日テレ)で演じた小野夏芽役だ。一気にファンになって、吉住登場を心待ちにした記憶がある。

画像提供=プロダクション人力舎
吉住さん

柔和な顔と温和な声音で毒舌を吐く姿も面白いし、卑屈もひとつの才能だ。刑事モノや医療モノなど定番すぎて飽き飽きするようなドラマに、ひとさじの毒とスパイスを盛ってくれる可能性大。

2位 恋愛の神様が宿りそうで宿らない健闘ぶり 福田麻貴(3時のヒロイン)

日曜劇場「危険なビーナス」や「ラストマン」(TBS)では、かなり重要な(しかもちょいと不倫絡み)役を演じて話題に。ホップステップで主演作「婚活1000本ノック」(フジ)で本領発揮である。

婚活中の作家役で、激しい面食いで男を見る目がない。相手を値踏みする舌鋒鋭さがコミカルな一方で、ふとした時に見せるオンナの表情がエストロゲン由来の天然モノ。

恋だの愛だのの時代ではないけれど、つまらなくなった恋愛ドラマを底上げしてくれる才が、彼女にはある。