人の意見に巻き込まれることも大事にしている

さて、本音・共鳴・シェアといったすべての項目で関西が関東を上回るという結果を受け、反応の重なりを見て関西と関東の違いを分析しています。

そうすると関西の方が関東以上に本音・共鳴・シェアという特性を併せ持っている、つまり、一体化している人が多いということがわかりました。

ただ、単に本音で喋るだけではなく、それについて互いに共鳴して、そして行動までシェアすることが大事と感じている人が関西の方には多いといえると思います。

出典=博報堂DYホールディングス「これからの幸福感プロジェクト」はたらく世代の幸福感調査(2022年8月)より

このようにみますと、関西のコミュニケーションというのは、開放的で自分の思っていることをいい、それに人を巻き込むことでコミュニケーションをより大きくしていると考えることができます。

また自分が人の意見を巻き込むだけでなく、人の意見に巻き込まれることも大事にしているというのは面白い結果だと思います。「おもしろがり体質」というのは互いのコミュニケーション力を加速させて、心を開いた関係性を作り出しているのだと思います。

“厳しい状況でもどうにかなるさ”と思えるか

さて、幸福感というのは自分だけでは達成できません。

欧米の調査では主体的な幸福感、つまり個人の幸福感を中心に語られることが多いですが、今日本で注目されているのは周辺環境を含めた幸福感の概念です。

出典=博報堂DYホールディングス「これからの幸福感プロジェクト」はたらく世代の幸福感調査(2022年8月)より

やはり周りとの関係がとても重要になると思います。そこでこの調査では、心理的互助性・自己肯定感という2つの視点から検証を行っています。

心理的互助性というのは、コミュニティの中で相互の信頼関係や助けてくれる存在があるかを指しています。“厳しい状況でもどうにかなるさ”という気分のようなものですね。

具体的には「日ごろから辛いことがあっても何とかなると思いますか」「あなたは困ったときに頼れる人の顔が思い浮かびますか」「失敗しても何度でもやり直しが効くと考える」「困っている人を助けるのはお互い様だと考える」という質問項目のすべてにイエスと回答したものを心理的互助性のスコアとみなしています。

出典=博報堂DYホールディングス「これからの幸福感プロジェクト」はたらく世代の幸福感調査(2022年8月)より

心理的互助性のスコアをみていると、本音・共鳴・シェアが一体化している人ほど、この心理的互助性が高いことがわかりました。

日々のコミュニケーションで信頼と連携ができているということでしょうか。会話を通じたフラットな関係性によってお互いを助け合う関係を作れているように思います。