個性を消さず、うまく生かそうとするマネジメント

この「おもしろがり体質」をもっと作り出すことはできないのでしょうか。博報堂DYグループのプロジェクトチームではこのomoroi-beingが企業経営にどう影響を与えているのかの研究を進めているそうです。本音に根差したチームは忖度で仕事を進めることなく、課題を見据えて改善意識や提案意識が高まるという効果があるようです。

石川智久『大阪 人づくりの逆襲』(青春出版社)
石川智久『大阪 人づくりの逆襲』(青春出版社)

心理的互助性や自己肯定感の高い組織は多様性の高いチームを生み出し、共鳴によって生産性の高さにも影響を与えているという構造を明らかにしています。こうした本音・共鳴・共有という、「おもしろがり体質」を根底に置いた組織文化は、関西的ダイナミズムを会社に生み出す可能性があります。

そうした風土を生み出していく人材をつくっていく人材育成プログラムも作り出されることが期待されます。

ここまでみてきた関西企業の強さの根底には、こうした人を見つめる目のやさしさや個人から発露される本音という個性を消さず、むしろうまく生かしていこうとするマネジメントがあるのかもしれません。

そうした人材の育成や組織の風土を意識的に作り出していくことも今後の関西企業独自の強さにつながっていくと思います。

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