「脳が興奮状態」の理由を探る

この状態になっている理由としては、二つ考えられます。一つは、「陽」の力が強いという状態。もう一つは、「陰」の力が弱くなっているため、相対的に「陽」の力が勝っている、という状態。

前者の場合は、「陽」の力を取り去る必要がありますし、後者は「陰」のパワー不足が原因ですから、「陰」の力を補ってあげる必要があります。

では、ご自身がいったいどちらの理由で眠れないのか、探る方法をいくつかご紹介しましょう。自分の状態をよく見て、どちらに該当箇所が多いでしょうか。

「陽」が強い場合に見られる症状
● 日常でイライラすることが多い、ストレスが多いと感じている
● 舌全体が赤くなっている。さらに黄色っぽい苔が厚くついていることがある
● のぼせやすい、顔が赤い
● 脂っこい食事が多い、辛いものが好き。甘いものをいっぱい食べている
● 毎日お酒を飲んでいる


「陰」が弱い場合に見られる症状
● 喉がやたらと渇き、水や冷たいものを欲する
● 舌が赤く、小さく縮んでいる。乾燥してひび割れている。苔はない
● 手足が熱く、ほてりやすい、のぼせやすい
● 便秘気味で便はコロコロとしている。体型は痩せ型
● 辛いものが好き。水を一日2〜3リットル飲んでいる
● 運動やホットヨガ、岩盤浴、長湯など、汗をかくことをよくしている
● 寝汗をかく

体内の状態を知るためには「舌」を見る

脂っこい食事や甘いもの辛いものの摂りすぎ、飲酒量が多いと、体内に「実熱じつねつ(「熱」が過剰に生まれている状態)」がこもりやすく、舌が赤くなることが見られます。中には黄色い苔が舌にべっとりとついているケースも。舌苔ぜったいは、体内の水分バランスを表す指標で、白っぽいものが薄く全体を覆っていて、舌の色が透けて見えるぐらいが正常です。けれど、前述したような食生活を送っていると、摂取したものすべてを体が処理できず、不要な水分が体内に溜まってやがてドロドロと粘り気を帯びてきます。これを中医学では、「痰湿たんしつ」と呼びます。

写真=iStock.com/Marina Demeshko
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「痰湿」は見える場合と見えない場合があり、例えば鼻水や痰は見える「痰湿」ですが、血中に溶けている、体に染み込んでいる等の場合は、見て判断できません。その中で厚い舌苔というのは、まさに見える「痰質」。体に「実熱」が溜まっていると舌苔は黄色くなります。

また、中医学では、イライラとした感情は、「実熱」を生み出すと考えます。詳しく話を聞いてみると、例えば、仕事上で大きなストレスを抱えてイライラとすることが多かったり、そのイライラを解消するために毎晩ビールを2缶以上飲んでいたりする。こういう場合は、「陽」が強いと判断できます。