中国の脅威が高まる中、「防衛費の増額」は必要だが…

第三に、防衛支出に対する第三者の監査体制を構築することを求めたい。国民の生命・財産を守ることは重要だ。したがって、筆者は中国の軍事力強化などの脅威が高まる中で防衛費を増額することについて賛同している。

石破首相は防衛支出に関して施政方針演説で下記のように述べている。

「防衛力の最大の基盤は、自衛官です。いかに装備品を整備しようとも、防衛力を発揮するためには、人的基盤を強化することが不可欠です。日本の独立と平和を守る自衛官の生活・勤務環境や処遇の改善に向け、総理大臣を長とする関係閣僚会議を設置し、その在り方を早急に検討し成案を得るものといたします」

自衛官の待遇改善は古くから指摘されていたことであり、それらを改善することは非常に望ましい。自衛隊の役割拡充が求められる中、優れた人材を良い環境で育むことは必要最低限のことだ。

しかし、岸田政権下で決定された「防衛増税」は国民からの認知および支持が十分にあるわけではない。

防衛省が設置される防衛省庁舎A棟(左奥)と防衛省庁舎正門(手前)(写真=本屋/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

防衛費バブルの「露骨なムダ遣い」は今すぐ見直すべき

実際、防衛省からの発注は予算増によって防衛費バブルのような状況が生まれており、中央調達の契約数が令和5年度は前年度5228件から7455件に増加している。発注量の増加によってHPでの情報公開がたびたび遅れて法令違反を指摘される状態となり、なおかつ同調達内容には露骨な無駄遣いと思われるものが次々と明らかになっている。

また、岸田政権下で自民党幹事長であった茂木敏充議員が防衛増税の必要性を否定したことも大きい。政策通である茂木氏が経済成長による税収増や政府資産の活用によって財源確保が可能と明言したことは防衛増税の必要性に疑問を投げかけるものだった。そのため、防衛増税を安易に肯定することは難しく、同増税の必要性を今一度精査することが求められる。

石破政権は防衛事業者による言い値の精査や技術の目利きを強化し、防衛支出に関して説明責任を強化することが必要だ。今後さらに防衛費が増大することが見込まれる中で、現状の予算の監査体制では国民からの承諾を得ることは困難となる。

以上のように、今回は石破内閣の軍事オタク的な性格からすぐに実行可能なソフト面での3つの政策提言を行った。日本の安全保障政策の具体化に資することになれば幸いである。

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