「歯周病医認定」という広告は医療広告ガイドライン違反

専門医は、認定医資格を取得後、2年以上研鑽を積み、所定のカリキュラムを履修の上、専門医試験に合格すると認定されます。試験では、歯周病学会の専門委員会において、歯周病手術の10症例をプレゼンテーションする必要があるため、難易度が高くなります。

専門医であれば、歯周病治療に関する一定の専門的な知識と技能が担保されていると言っていいでしょう。専門医は全国に約1200名。全国の歯科医師約10万人のうち、わずか1%ほどと希少な存在です。

国がホームページや看板などで広告して良いとしているのが専門医からです。よく歯周病医認定と堂々と広告をしている歯医者さんがいますが、あれは厳密には医療広告ガイドライン違反になるので法律違反です。

指導医は、専門医資格を取得後、7年以上学会や地域で指導を行い、指導医試験に合格することで認定されます。指導医になると、専門医や認定医を教育できる立場になります。指導医は大学の教授・准教授クラスに匹敵し、全国に約300名しかいません。

私は日本歯周病学会の指導医を保有しているので、たぼ歯科医院は日本歯周病学会の認定教育施設になっています。日本歯周病学会認定教育施設とは歯周病指導医の指導のもと専門医や認定医、認定歯科衛生士を育てることが日本歯周病学会から許されている施設になります。

土台となる骨が溶けたらインプラントができない

施設の認定資格を取得するためには学会の基準値をクリアしないと認定されません。日本歯周病学会認定教育施設は主に大学病院で、一般歯科医院では非常に稀です。そのため、私のクリニックでは、歯周病を勉強し資格を取得したい若手歯科医師が多く集まります。

歯周病を治療するのであれば、最初から専門医や指導医の診療を受けた方が、時間も費用も無駄にせずに済むでしょう。当院に来院される歯周病患者さんの中には、他のクリニックで長い間メンテナンスに通ったものの「なかなか治らない」と言って来られる方が数多くいます。

そういう患者さんを診察すると、もはや抜歯するしかないケースが非常に多いです。もっと早く当院に来ていれば、適切な治療を受けることで歯を失わずに済んでいたかもしれません。歯周炎は顎の骨の病気です。

抜歯後にインプラントをしたくても、土台となる骨が溶けてしまっているためにインプラントができないというケースは少なくありません。歯周病専門医は、言ってみれば骨(bone)のプロ、言い換えるとボーンドクターです。

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多保学『0歳から100歳までの これからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)

骨の状態を整え、場合によっては増やすことによって、歯周組織を治すことができます。私の場合は、アメリカのインプラント科大学院に3年間留学をしてアメリカインプラント学会の専門医と日本口腔インプラント学会専門医を取得しています。

アメリカでの専門医教育を受けているので、インプラントをするために骨が失われた部分に骨を再生する知識と技術を持っています。インプラント治療をするためには費用もかかりますし、痛い思いをしなければなりません。

本来はそこまで悪くしてしまう前に、早めに歯周病専門医の診察を受けることが、治療への近道です。