営業利益率5割のメーカー
2年連続で2位だったのは、キーエンスだ。ファクトリーオートメーション(FC)向けのセンサや測定器などを手掛ける。
顧客企業が要望している製品を先取りしてスピーディに開発・提供するだけでなく、その約7割が「世界初」「業界初」の商品というのは驚きだ。
営業面で興味深いのは、営業担当者は売上目標ではなく、利益ベースでの目標を立てる点だ。これにより、顧客から単価を下げてほしいという依頼があっても簡単には受け付けない。一人ひとりが独立した小売店の意識を持って動く。
高い技術力、商品企画力、営業力で、高い利益率(粗利益率は8割強、営業利益率は5割台)を実現していることが高給に結びついている。
過去5期の平均年収の推移は「2110.6万円→1839.2万円→1751.7万円→2182.7万円→2279.3万円」。従業員の平均勤続年数は、12年となっている。
なぜ三菱商事は380万円もアップしたのか
3位はインターネット回線サービス提供や携帯電話・複写機などの販売を手掛けている光通信だ。前年度6位からランクアップ。420万円の増額で、2000万円を超えた。
ただし、従業員が少ない場合は、増減幅が大きく出る傾向が強い。光通信に限らず、持株会社の年収推移を見る場合は特に、留意したい点である。
4位~10位では、前年度7位の建設業のショーボンドHDが15位にランクを下げ、代わって、コンサルとベンチャー投資事業のドリームインキュベータ(約690万円アップ)が、73位から7位にランクインした。同社は電通グループの関連会社である。
今期は商社で年収アップの機運が高まっている。1558.8万円→1939.3万円と380.5万円の大幅アップとなった三菱商事(ランキング4位)にその理由を聞いてみた。
「21年度においては、資源価格が堅調に推移するとともに、自動車や鮭鱒養殖など各事業で収益機会を着実に利益につなげることができました。利益が伸びたことで業績に連動する報酬が伸長。23年3月期における年収アップの要因です」(広報部)
ちなみに、同社で1億円以上の役員報酬を得ている社内取締役は6名。彼らの役員報酬の平均は2億9316万円である。