原発利権の裏に、経産省官僚の動きあり
安倍首相自身、昨年末に政権に復帰するやいなや、民主党が決めた「2030年原発ゼロ」の見直しを明言した。
安倍は、福島第一原発の事故原因を冷静に見極めたうえでと前置きしながらも、「今後、新たに建設する原子力発電所は、40年前に造られた福島第一原発とは全然違うものだ。国民的な理解を得ながら新たに造っていくことになる」と、原発の新設・増設に対し、前向きな発言をしている。さらに安倍だけでなく現政権には、原発の再稼働、新設、増設に対して意欲的な政治家・官僚が多い。
現政権で経済再生を担う甘利は、経産相在任中の2007年4月、世界第2位のウランの埋蔵量が確認されているカザフスタンを訪れるために、官民挙げて結成した大訪問団の中心にいたことがある。この大訪問団には、東京電力をはじめとする電力各社の社長だけでなく、原子炉メーカー、商社の首脳も加わっていた。
当時、世界的な“原子力ルネサンス”の動きに対して、経産省の立場で支援したのが、柳瀬唯夫総理秘書官(当時資源エネルギー庁原子力政策課課長)だ。そして経産省から政務秘書官となった今井尚哉。今井は、民主党政権時代に陰の首相といわれた仙谷由人(元国家戦略担当大臣)の懐に飛び込み、国家戦略として“原発輸出”を掲げさせ、UAE(アラブ首長国連邦)、トルコ、ベトナムなどへ原発を売り込んだ。今再び、原発の“政官タッグ”が生まれている。
今夏の参議院選挙まで“寝たふり”を決め込んだ自民党。参院選挙後は、一気に原発再稼働へのギアが入れられる。