脳のゴールデンタイムを逸している

一方で、メモやノートをとることは、記録を残しておくこと以上に、学んだ内容をしっかりと頭に入れて脳を動かす働きがあり、効果的なインプットには欠かすことができないのです。

にもかかわらず、【スクショ記録】や【ChatGPT要約】をすると、つい安心してしまい、メモやノートをとらないことがしばしばあります。

そのことで、私たちは自分の脳のゴールデンタイムを逸してしまっています。

もちろん、【スクショ記録】や【ChatGPT要約】を、記録用に使うこと自体は全く悪いことではありません。

例えば、後々になって一度インプットした情報にアクセスしたいとき、スクショや要約がデジタルに残っていれば、簡単に検索できたりもするでしょう。膨大な関連情報の中から、全て人力で目を通して探すのは骨が折れます。

動画を見る前の「プレビュー」のために使う

しかし、【スクショ記録】や【ChatGPT要約】を使った場合や、もともと録画や写真などで学んだ内容の記録がある場合でも、脳をエンゲージする手軽な方法としてノートをとる習慣は併用するほうがいいでしょう。

【ChatGPT要約】は、動画を見た後のための記録として使わずに、動画を見る前の【プレビュー】のために使うと、インプットのクオリティーを向上させることができます。

「読むインプット」の前に目次や見出しなどを【プレビュー】しておくと、メタ認知がアップしてインプットのクオリティーが上がります。

同様に【ChatGPT要約】で動画全体の内容をざっくりと把握することは、「読むインプット」の【プレビュー】と同様の効果が得られます。

また、自分がインプットしたい内容のYouTube動画を探す場合にも有効です。

現在では動画を視聴することなく、動画の内容をまとめてくれる生成AIのツールなども登場しています。

星友啓『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)

そうしたツールを使えば、動画のタイトルやサムネイルからだけでは内容がわからなかった場合でも、自分の探している動画の内容を素早く把握できます。

そのため、大事な時間を費やして見るに値する動画なのかを見極めるツールとしても、【GPT要約】を活用することができるのです。

【GPT要約】は動画を見始める前に使うか、見た後に使うかで、効果に大きな差が出てきます。

脳のエンゲージメントでインプットの質を上げる目的ならば、動画を見始める前に使うのが賢明です。

※1 Ritzhaupt A.D., Barron A. (2008). “Effects of Time-Compressed Narration and Representational Adjunct Images on Cued-Recall,Content Recognition, and Learner Satisfaction.” Journal of Educational Computing Research, 39(2):161-184.

※2 Pastore R. (2012). “The effects of time-compressed instruction and redundancy on learning and learners’ perceptions of cognitive load.” Computers & Education, 58(1):641-651.

※3 Menendez D., Rosengren K.S., Alibali M.W. (2020). “Do details bug you? Effects of perceptual richness in learning about biological change.” Applied Cognitive Psychology, 34(5):1101-17.

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