「学校なんていかなくていい」論の広がり

――最近では、不登校ユーチューバーやインフルエンサーの影響を受けて、子どもの中でも「そもそも学校なんて行かなくてもいい」という考えが広まっています。この点についてはどう考えられますか。

実際問題として掛け算もできなければ漢字も読めないとなったら、仕事をすることはできないですよね。インフルエンサーが学校に行かなくてもいいと言うのは、そういうところがしっかりできていることが前提での話でしょう。学校には行かない、でも学力は身につけなければならないけれど、1人でそれができるかと言えば難しいですよね。

それに、育ち盛りの子どもなのですから運動だって必要です。インフルエンサーだって「学校なんて行かなくてもいい」とは言っているけれど、「運動しなくていい」とは言ってない。

学校に行くことによって、1日の生活リズムや睡眠のリズムを整えるとか、人としてのあるべき当たり前のことができるようになると僕は思っているんです。それを不登校の状態で、自分の意思だけで生活習慣を保つのは、大人ならとにかく、子どもには現実的に難しいと思います。

家庭のルールを決めるのは親御さんなのだから「そうなんだ、○○さんはそう言っているんだね。でもうちの家庭ではこう考えているから、うちはこのルールで行くよ」と淡々と言えばいいと思います。

子どもは家に住ませてもらって、ご飯を食べさせていただいている立場です。そして親御さんにはお子さんを守る権利がある。だから「私は学校に行くことが○○にとって大事だと思っているから」って言えばいいのです。

学校に行かないデメリットを考えさせよう

それに、自由には責任が伴います。だから「学校なんて行かなくてもいい」と主張するのであれば、学校に行かない場合のメリットとデメリットをちゃんと理解した上でなければならないと話をしましょう。

小川涼太郎『不登校の9割は親が解決できる 3週間で再登校に導く5つのルール』(PHP研究所)

仮に、中卒で働くとなった場合にどうするかといったことを現実問題として考えたら、結構きついですよね。だから、あなたは今小学生で、仮にずっと不登校で中卒となった場合どうなるか。今の世の中って、給料を中卒と大卒で比べたら中卒のほうがずっと低いし、選べる仕事も非常に限られてくるよ、といった話をしてみてはどうでしょうか。実際にこのような話をすると、驚いて学校への意識が変わるお子さんは多いです。そのような現実を伝えたうえで、どの選択肢を選ぶかを考えようと問いかけることが大事かなと思います。

通信制の学校にいったとしても、自宅で学校と同じように勉強をできるのかを考えさせる。たぶん子どもたちも「けっこう大変そうだな」みたいな反応になると思うんですね。そういう点を考えたうえで本当に学校なんて行かなくてもいいのかを親子で話し合うのが大事かなと思います。

(構成=村井裕美)
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