なぜ学校に通わない子供が増えているのか。不登校の子がいる家庭に有料の支援サービスを提供するスダチ代表・小川涼太郎さんは「不登校の子どもへの支援は、寄り添う“見守り型”が主流だが、それが問題を長引かせている。大事なのは子供自身が問題に向き合い、それをサポートすることではないか」という――。(前編/全2回)
不登校支援の主流は「見守り・寄り添い」
――文部科学省の調査によると、不登校の小・中学生は推計30万人に上っています。不登校の子供たちにどんな支援がおこなわれているのでしょうか。
「見守りましょう」とか「子どものエネルギーが溜まるまで待ちましょう」という考え方に基づいたカウンセリングなどが一般的だと思います。
これはロジャーズさんというアメリカの心理学者の方が始めた「来談者中心療法」というカウンセリング手法の考えに基づいています。とにかくその方の意見を聞きましょう、否定はしてはいけない、とにかく傾聴して、アドバイスをしてはいけない、という考え方です。
今の日本の心理カウンセリングの世界ではこの考え方が広く受け入れられているという現状があるのですが、それが不登校のお子さんへの支援においても主流になっているように思います。
――カウンセリングの手法が、そのまま不登校の子どもへの支援に結びついたという感じでしょうか。
それに加えて、「子どもたちの意見を尊重しましょう」とか「子どもの人権を大事にしましょう」といったことが叫ばれるようになった今の風潮も、背景にあると思います。
それはもちろん大事なことではあるのですが、問題は行き過ぎた解釈がされがちだという点です。そのせいで「ずっと家にいたい」「勉強はしたくない」「ゲームをしていたい」という子どもたちの声を聞くべきだという考え方がかなり広がっているんですね。
それを聞いてしまうと不登校も認める方向になってしまうのだけれど、一方で、子どもの人権を守るという考え方にはうまくフィットします。それで「そういう考え方もありだよね、分かった」と受け入れられてしまうのかなと思っています。要は、どこまで子どもたちの「○○したい」「したくない」という意見を認めるべきかという線引きが難しくなっているんです。