フリースクールは解決策になるのか

――今、不登校の生徒児童の数が増える中で、保健室登校やフリースクール、通信制高校など、不登校の子どもの選択肢は増えているように思います。スダチではどのように捉えていますか。

最終的に子どもたちが社会の中で自立できればそれでいい、というのが私たちの前提であり考えです。だから、そうした学校以外の選択肢が子どもたちを自立に導いているのなら、それはそれでいいと思います。

フリースクールも、ちゃんと早起きして朝から通った上で運動も勉強もして、社会性や生活習慣など人として生きる上で当たり前に必要なこともしっかりと身に付けられるのなら、僕はいいと思うんです。ただ一方で、それを学校以外の環境で身に付けるのは現実的に難しいケースが多いと思っています。

例えばフリースクールは、一般的には登校時間も決まっておらず、勉強も別にしなくていいという感じの場所が多いです。いつ来てもいいから子どもは朝起きられなかったりするし、来ても漫画を読んだり、遊んでいるのもOKという場所も多い。先生も教員免許を持っているとは限らない、つまりきちんと勉強を教えられる人が必ずしもいないという現実もある。運動場や体育館もないから、学校と同じような環境で運動をすることも難しい。学校のように同年代の子どもたちと何か一緒にやっていく環境をつくれないところも多く、社会性を育てるのが難しい部分もある。

こういう問題が全てクリアできるようなフリースクールならいいんですが、現実としてはたぶん、難しい場所が多いと思うんですね。僕自身、運営をしていたことがあるのでフリースクールの抱える課題はよく分かります。

通信制高校も同じです。ネットコースだと年に1回くらいしか学校に行かなくていいし、提出物も答えを写して提出したら終わりといった状況もあると聞きます。だから、学力が身につくかについては難しい面があると思います。

携帯電話を持つティーンエイジャー
写真=iStock.com/Maria Sonia Salvador Verdugo
※写真はイメージです

楽な環境に慣れると学校に戻りにくくなる

そういった問題意識があるから、私たちは学校に戻るのが第一の選択肢だと考えているのです。だから、普通にやれば元の学校に戻れる子を、わざわざ別の環境に行かせる必要はないかなと思っているんです。

もちろん、再登校を目指した上でだめだった場合には、フリースクールとか他の選択肢を選んでもいいと思うのですが、今って不登校になった子ども全員に対して「学校に行くのが無理ならそっちに行っていいよ」と簡単に言いすぎるところがあるように思います。出席日数が足らないと成績がつかなくて、例えば高校への進学で苦労するといった問題も現実としてありますし。

――「学校に戻るのが第一の選択肢」なのですね。

フリースクールの中には、子どもたちにとっては好きなことを好きなだけできる、という環境も多いです。その環境に1度慣れてしまってから、朝から放課後まで授業がある学校に戻れるかって言うとかなり難しい部分があります。

それに、元々学校に戻れる状態のお子さんが不登校の状態からフリースクールに行って、そこからさらに学校に戻るとなるとハードルを2回越えなければならない。また、フリースクールを挟むと結果として元の学校に戻るまでの期間が伸びるということもあります。