日常のサイクルに「活力」を加える

辞書を引くと、疲労の反対語は「活力」であると書いてあります。この活力を加えて4つの要素にしてはどうか、そう考えたのです。

つまり、休養したあとすぐに活動を始めるのではなく、そこからさらに活力に満ちた状態までもっていき、再び活動する、というサイクルです(図表2)。

休養だけでは50%程度しか充電できなくても、活力を加えて満充電に近いところまでもっていくのです。

片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)より

心身を鍛える「超回復理論」とは何か

では、どうしたら活力を高められるのでしょうか。意外に思われるかもしれませんが、実はあえて軽い負荷を自分に与えると、活力が高まることがわかっています。

そこで思い出していただきたいのが「超回復理論」です。

前回のトレーニングの疲れが回復しきっていないのにトレーニングを続けると、結果的にパフォーマンスはどんどん下がっていってしまいます。そうならないために、アスリートたちは超回復理論にもとづいて、激しいトレーニングのあとに必ず一定の休養をとることでパフォーマンスを上げていきます。

超回復理論は、筋力トレーニングをしている人にはおなじみかもしれません。簡単にいえば「あえて負荷をかけたトレーニングをすると、その直後は疲れて体力が低下するが、そのあと十分な休養をとることで、トレーニングをする前より体力がつく」という現象を説明した理論です(図表3)。

筋トレでいえば重いものをもち上げたり、もち上げる回数を多くしたりして、筋繊維を1回壊します。その後48時間から72時間、つまり2~3日はトレーニングをせずに休養に専念します。すると、トレーニング前よりも筋繊維が肥大しているのです。

ボディービルダーたちはこれを繰り返すことによって、たくましい肉体をつくっていますが、超回復理論は、なにもこうしたアスリートの人たちだけのものではありません。ビジネスパーソンや一般の人たちもぜひ取り入れたい考え方なのです。

片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)より

あえて、自分に負荷をかける

活力を高めるには、あえて自分に何か負荷をかけることだとお話ししました。

「疲れが取れきっていないのに、もっと疲れることをするなんて、とんでもない」

そう思うかもしれません。しかし適切な負荷をかけたあとにもう一度しっかりと休養の時間をとると、ストレスをかける前よりも体力がつくわけですから、試す価値は十分あるはずです。