最重要ポイントは「刷新感×安定感」

以上のように考えていくと、総裁選を勝ち抜く最重要ポイントは「刷新感」×「安定感」と整理できるだろう。マーケティングでいえば、「安定感」は、必要条件ともいえる「類似化ポイント」にあたり、「刷新感」は、独自の強みともいうべき「差別化ポイント」に該当する。ここで重要なのは、刷新感と安定感は二律背反的な特性であり、両者を同時に充足するのは簡単ではないということだ。

具体的には、刷新感とは、その候補に対して、「新しい」「期待できる」「変えてくれる」と思えるかどうかだ。安定感は、「実績」「誠実」「協調できる」といった言葉で表現できるだろう。

刷新感でいえば、今回目につくのが若手の台頭だ。49歳の小林鷹之氏をはじめ、43歳の小泉進次郎氏も出馬の意向を固めたと報じられており、40代議員の対決にも注目が集まる。もっとも、刷新感において最重要なのは、政治とカネにおいて自民党が本当に変わると判断されることであることを強調しておきたい。

こうした中でキャスティングボートを握るのは、自民党の若手議員たちだ。現在、衆議院で当選4回以下が55%、参議院で当選2回以下が59%と、自民党の国会議員の6割近くが若手で占められており、彼らのあいだでは世代交代を求める声が日増しに高まっている。人数的にもその影響力は無視できない。

安定感では、やはりベテラン議員に一日の長がある。閣僚経験もあり、実績は十分。党内の人脈基盤も固めている候補が多い。

筆者作成

トランプ氏のような猛者に対峙できる「強さ」も必要

一方、刷新感のある若手は実績には乏しいが、誠実さなど人柄も含めて、いかに安定感を見せられるかが勝負になってくるだろう。リーダーシップの発揮の仕方はさまざまだ。周囲の人をうまく使って政権運営をしていくことができれば問題はない。仮に今回敗れても、新内閣で閣僚に登用される可能性も高く、次世代リーダーとして党内での存在感を増していくはずだ。

安定感のあるベテラン議員は、政治改革などの重要課題にいかに大胆に切り込めるかが重要になる。豊富な実績を持ちながら、党内不人気がささやかれる石破茂氏のような例もあり、年齢や経験にかかわらず、自分の理想を実行するために同志を増やしていく努力は欠かせないだろう。

もうひとつ付け加えると、絶対に欠かせないのは、リーダーとしての「強さ」だ。ウクライナ情勢をはじめ、イスラエルとパレスチナをめぐる中東情勢など、国際関係は一段と不安定化している。主要国のトップリーダーを見てもアメリカ大統領候補のトランプ氏、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席など一筋縄ではいかない猛者ばかりだ。

「刷新感」×「安定感」に、リーダーとしての「強さ」。そのバランスのなかで、自分なりのポジショニングを見つけ、明確なメッセージを発信できる候補者は誰なのか。次なる日本のリーダーにふさわしい人物なのか、しっかりと見極めていくことが求められている。

(構成=瀬戸友子)
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