お金は信用の化身であると同時に、評価をするのに便利なツールです。
よく「人間の価値はお金では測れない」なんて言いますが、死亡保険金って人間の命に値段をつけているのと同じでしょう。僕らは命でさえ、お金で評価してきたんです。
ところが、岡田斗司夫さんが言っているような「評価経済社会」では、お金による評価よりも、ツイッターのフォロワーが何人いるかってことのほうが重要になったりする。
たとえば、僕のツイッターのフォロワーは70万人います。そうすると北海道の片田舎のファミレスでハンバーグを食べていたら、隣に座った人がフォロワーだったなんてことがありうるわけです。「いや、堀江さんに1回ご馳走したかった」ということになるかもしれない。
刑務所を出たら、僕はノマドになろうと思っています。昔の中国の知識人たちは、各地の豪商の家を泊まり歩いて、知識を伝授したり芸術作品をプレゼントしたりしながら、旅をしたというじゃないですか。
そういうことって、インターネットやSNSが発達した現代で、再び可能になっているんじゃないかと思うんです。少なくとも僕なら、お金を一銭も持たずに旅ができると思う。なぜなら僕には信用があり、大勢のフォロワーが存在するからです。
拘置所の飯は案外うまかったから、たぶん刑務所の飯も悪くないんじゃないかな。2年半、これまでに読めなかった本を思う存分読んでこようと思っています。
※すべて雑誌掲載当時
1972年、福岡県生まれ。96年、東京大学在学中にインターネット事業を開業、2004年株式会社ライブドアとなる。06年証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕される。11年4月26日、最高裁にて懲役2年6カ月の実刑判決が確定した。