「電子カルテ」はいまだに「CD-R」でやり取りしている

というのも、未だに病院間の情報のやり取りは「CD-R」が主流だからです。これだけインターネットが普及しリモート化が進んでいる中でも、インターネットを介した情報共有はほとんど行われていないのが現状です。

この原稿を執筆している最中にも、私のところに他院からCD-Rが届きました。そこには、患者さんのCT画像、MRI画像などが閲覧ソフトと一緒に入っており、また採血・血圧・薬剤データなどの情報がPDFファイルで入っていました。

写真=iStock.com/Lerachka
いまだに「CD-R」でやり取りしている(※写真はイメージです)

「データのフォーマットが不統一」で共有できない

病院がこうしたデータをネット経由で共有しないことには理由があります。「ネット経由で個人情報が漏洩することを防ぐ」というセキュリティー問題もありますが、もっと大きな問題として、「データのフォーマットが不統一」で共有できないのが現状だからです。

病院・診療所の電子カルテの「システム」は、さまざまな会社が独自の仕様で作っています。会社ごとにCT画像のファイル処理の仕方、採血データのファイル処理の仕方がまったく違うため、データをそのまま送ってもまったく読み込めないということが起こります。

電子カルテ自体はここ20年ほどで導入が進み、いまではほぼすべての病院に配備されていますが、フォーマットが全く統一されていないのが現状なのです。

「マイナ保険証」に切り替えてもこの問題が解決されるはずもありません。おそらく今後も当分は「病院間の電子カルテ情報の共有は無理」なままでしょう。

もちろん、電子カルテのフォーマットが統一化されている国もありますので、絶対に無理ということはありません。ただ、統一するのはかなりの大ごとで、壮大なシステム構築が必要になります。