松下幸之助「正反対大いに結構」
ある洋服メーカーで、若い社員が「うちの商品は他社に比べて地味すぎる。この際、もっと跳ぼうよ」と奇抜な面白さを狙ったファッションを企画して進言したところ、「奇抜というより奇妙だ」と古参の役員が「社会通念」といった言葉まで口にして相手にしなかったというのです。あり得る話ですよね。
では、経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏は、対立する意見についてはどのように言っていたでしょう。
正反対大いに結構
これも一つの自然の理ではないか
立あればこそのわれであり正反対あればこその深味である
妙味である
だから排することに心を労するよりも
これをいかに受け入れ
これといかに調和するかに
心を労したい(松下幸之助『続・道をひらく』)
新企画とかヒット作を実現するには、提案側は社内の古参派の存在も考えたうえで、企画案がどれだけ今日的で、かつ客観的な視点で立案されたものであるかを印象づける努力を怠ってはならないわけです。
松下氏の言葉は、底流に“人と共に存在している”という理念が感じ取れますが、受け入れる側が持ちつ持たれつの仲間意識を持つ、と言いますか、同じ目的を持って仕事をしている者同士なんだ、という意識を持たなければならないということですね。職場での人間関係において最も大切なことではないでしょうか。
悲観的に計画し、楽観的に実行する
次は、京セラの創業者、稲盛和夫氏が遺した言葉です。ち密さや細かい気配りまで感じさせられます。
この言葉を知った時、かつて大手製薬メーカーに勤務し、社長になった友人のことを思い出しました。彼が部長時代に面白い話をしていました。