人間関係がうまくいかないとき、先人たちはどのように対応したのか。古今東西の名言名句を厳選して解説した、ジャーナリスト近藤勝重さんの著書『人間通の名言 唸る、励まされる、涙する』(幻冬舎新書)より、一部を紹介する――。
口論をする2人のビジネスマン
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生きる上で避けては通れない人間関係がある

夏目漱石の『それから』にこんな言葉があります。

到底人間として
生存する為には
人間から
嫌われるという運命に
到着するに違いない(夏目漱石『それから』)

菊池寛は次のように言っています。

触らぬ神に祟りなしというが
それと同じく
触らぬ人に祟りなしである
自分の気持を清浄に保つのには
対人関係を
なるべく少なくするのが
一番よいようだ(菊池寛「人の世話」)

人が人の中で生きていくとは、何と大変なことだろう、と思わせる言葉ではありますが、対人関係をなるべく少なく、と言われても、実際のところ会社では上司と部下、学校では先生と生徒、家庭では、友達関係では、と避けては通れない人間関係の中で私たちは生きているわけです。

「人間に関する知識」がもっとも進んでいない

フランスの哲学者ルソーは、こう書いています。

人間のすべての知識のなかで
もっとも有用でありながら
もっとも進んでいないものは
人間に関する知識であるように
私には思われる(ルソー)

個性も違い、考え方も生き方も違う人間同士がうまくコミュニケーションをとって、お互い日々心晴れやかに過ごすために、先人たちは様々な言葉をのこしてくれているんでしょうね。

では、まずは職場での具体的な人間関係からです。