婚活で「条件」よりも大切なこと

A子さんの例からもわかるように、結婚相手を選ぶポイントは条件だけではない。たとえば、声や話し方、においや温度、ファッションセンス、相手との距離感などの「生理的な相性」は、写真からは伝わらず、直接会ってみなければわからない。そして、それは結婚する上では決して無視することはできないものだ。

難しいのは、時間をかけないと違和感に気付かないケースだろう。むしろひと目で「ムリ!」と思える相手なら迷う心配はない。A子さんの相手のように、条件も人柄もよく、自分に好意を持っていると、断るタイミングを逃してしまいがちだ。交際期間が長くなるほど、ますます断りづらくなってしまう。しかし、どのタイミングであっても「ムリだ」と気づいたら、相手の時間をそれ以上奪わないよう、その時点できちんと断るのが婚活の礼儀なのだ。

婚活ウツかな? と感じたら、思いきって休息を

話を聞くと、A子さんは典型的な「婚活ウツ」状態に陥っていた。「新たな出会いがあっても、同じことを繰り返してしまう気がします」と暗い顔をしているA子さんに、私はしばらく婚活を休むことをおすすめした。婚活は、後ろ向きの気持ちで臨んでもうまくいかない。

「気が進まないな」とか「どうせうまくいかないし……」という思いは、表情やオーラに表れる。一方で、何歳になっても、結婚していてもいなくても、自分で自分を楽しませてごきげんに生きている人の表情は明るい。大前提として、一緒に幸せになれる相手を探すのが婚活だ。表情が明るくて幸せそうに見えるということは、それだけで大きなアドバンテージになる。

A子さんから「結婚相談所を退会した」という報告を受けた私は、「婚活のことはひとまず忘れて、自分の好きなことややりたいことを楽しんで」とアドバイスをした。

それから約1年後、A子さんは再び私のところへやって来た。婚活を休んでいる間、旅行をしたり、絵を習ったり、A子さんは自分の時間を楽しんだという。「このままひとりでも楽しく生きていける」と確信を持つことができたとき、A子さんは改めて「これからの人生をともにできるパートナーがほしい」と思ったそうだ。

「彼と手をつなぐことに抵抗はないか」がバロメーターに

A子さんは、改めて、私が婚活前には必ず作成をおすすめしている「理想の人リスト」を作り、婚活を再スタートさせた。やがて、同い年の男性と出会ってデートを重ねるようになったA子さんから、私は再び相談を受けた。相手の男性は、条件も合うし、人柄もいい。A子さんへの好意も伝わってくる。ただ、やはり心がときめく相手ではないのだという。「彼とこのままおつきあいを続けてもいいのでしょうか。以前のように、やっぱり好きになれないということになったら……」とA子さんは不安を感じていた。

そこで私が投げかけたのは、「彼と手をつなぐことに抵抗はないですか?」という質問だ。するとA子さんは、「ないです」と即答した。さらに「その先のスキンシップを想像できますか?」と問うと、「彼が望むなら」とのこと。「それなら大丈夫」と私はA子さんの背中を押した。A子さんは、結婚を視野に入れて、彼と交際を続けている。

写真=iStock.com/tylim
※写真はイメージです

婚活では、心がときめくような相手と出会うことは稀だ。そもそもアラフォー・アラフィフで婚活をする人には、恋愛に慎重なタイプが多い。さらに年齢を重ねれば、そう簡単に恋に落ちることはなくなる。それでも、手をつなぐことに抵抗がない相手であれば、少なくとも「生理的に受け入れられない」という心配はない。出会った当初は心がときめかなくても、時間をかけて理想的なパートナーになるというケースを、私はこれまでにたくさん見てきた。

迷ったときは、「この人と手をつないだとしたら……」と想像してみることをおすすめする。想像してみて、もし「ムリ!」と感じたら、迷わずお断りすればいい。それが相手のためにも、自分のためにもベストな選択であることを忘れないでほしい。

関連記事
年収350万円、体重100kg、趣味は「酒、麻雀、バイク、風俗」…52歳男性に結婚相談所が伝えた「残酷なひと言」
「理想が高くて結婚できない」のではない…40歳未満の東大卒女性の2人に1人が未婚である本当の理由
銀座ママが「LINEを交換しよう」と聞かれたときに必ず使う"スマートな断り文句"【2021編集部セレクション】
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"
こんな人と付き合うのは人生のムダである…和田秀樹「50歳を過ぎたら関係を断ったほうがいい人のタイプ」