開業医は1億円の借金を背負って独立している

私はいま、この原稿を自分の書斎で書いています。4畳くらいの細長い、まるで穴蔵のような書斎なんですが、私にとってここは最高のスペースです。壁一面に本が2000冊くらい収納されていて、作業机の上にパソコンと大型モニターを置いています。ネットサーフィンもできるし、大好きなJazzを聴くことも可能です。本に囲まれ、音楽に包まれるというのは最高の環境です。そしてこうして原稿を書くこともできます。え、もっと勉強しろ? はい、すみません。

では、そんなにいいなら、なんでみんな開業医にならないの? という疑問が読者には湧くでしょう。それはやっぱりリスクですね。

開業医はみんな1億円前後の借金をしてクリニックを始めますから、うまくいかなかったら悲惨です。また病気をしてクリニックを継続できなくなったら、膨大な負債を抱えることになります。

そういうリスクを背負って立てる人だけが開業医になっているわけです。

公立病院は30代で年収1000万円

では、3年間出向した公立病院の勤務はどうだったでしょうか。確かに給料はよかったです。30代の若さで年間1000万円プレーヤーでした。忙しさも大学病院と比べると、雲泥の差でしたし、臨床の毎日はとても楽しかったし、収入と仕事量のバランスが一番取れているのが、公立病院の勤務医ではないかと思います。

松永正訓『患者の前で医者が考えていること』(三笠書房)

大学病院の勤務医、公立病院の勤務医、開業医とで、ここまで「お金」と「時間」のバランスが異なるというのは、みなさんにも意外に映ったのではないでしょうか。

どれが一番いいかというのは、結局その医師の人生観によると思いますし、また、医師は基本的にみんな大学の医局に所属していますので、大学の(つまり教授の)人事の方針によるという部分もあります。

開業医になるために、教授の許可はいらないようにも見えますが、実際にはちゃんと筋を通し、教授に許可をもらって開業しているのが実態です。「お金はあるけど、時間がありません」というタイプの医者は、実はあまりいないということがお分かりになったでしょう。最後に私見を付け加えれば、大学病院勤務の医師の給与をどうにかすべきだと、私は強く思っています。

・大学病院の勤務医の実態は「忙しすぎるけど、お金はそんなに貯まらない」
・開業医は、大学病院の勤務医ほど忙しいわけではないが、お金は貯まる
・公立病院の勤務医は、収入と仕事量のバランスがよく、やりがいもある
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