次によく見ているメディアが「新聞」だ。新聞といえば多くの高齢者が読者となっている印象だが、利用率は56.2%と半分程度にとどまった。高齢者の間でも読者が減っている現状が垣間見られた。利用時間帯は午前中であり、朝刊のみを購読している様子がうかがえる。

高齢者の4人に1人がYouTubeを利用している

3番目に利用されているのが、高齢者にとっては新しいメディアに分類される対話アプリ「LINE」だ。利用率は39.5%に上り、推定利用人口は1721万人と、高齢者の間でも普及し、存在感を示している。利用時間帯は午前7時から午後11時までで、テレビと同様、時間帯を選ばず使われている。利用する動機としては、主に孫とのチャットや写真のやり取りが挙げられる。

原田曜平『「シニア」でくくるな! “壁”は年齢ではなくデジタル』(日経BP)

その他、高齢者にとって目新しく感じるメディアとしては、「Google検索」が利用率約3割、推定利用人口1324万人と活用度が比較的高い。「Yahoo!検索」も利用率26.1%、推定利用人口1137万人と活用が広がっている。

こうした数字からも、企業は受動的に情報を届けられるテレビ広告だけを重視するのではなく、分かりやすい説明を施したWebページを設け、「詳しくは検索で」と案内する手法も、高齢者には有効になりつつあるといえる。

そして注目すべきが、動画共有サイト「YouTube」の利用率が25.7%、推定利用人口1120万人と、高齢者の4人に1人が活用するメディアになっていることだ。利用は、午後8時から午後11時と夜の時間帯だ。

新しいメディアは若者だけのものではない

例えば、午後7時台は地上波でNHKのニュースを視聴し、午後8時くらいからはYouTubeを楽しむという生活パターンがイメージできる。高齢者は、時間のありそうな日中に視聴を楽しんでもよさそうなものだが、YouTubeは若者と同じように夜に楽しんでいるという状況は興味深い。

さらに特筆すべきは、LINE、Google検索、Yahoo!検索、YouTubeの4メディアは、PC保有、スマホ保有のデジタル高齢者では利用率が跳ね上がることだ。例えばLINEの場合、PC保有では76.3%、スマホ保有では64.7%という結果が出ている。

全体と比較すると、いずれも1.5倍以上だ。デジタル高齢者を狙う場合、これらの新しいメディアをマーケティング戦略に組み入れることが、有効な選択肢となることを示唆している。

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