80歳を超えてエベレスト山麓など108カ国も訪ね歩く

歌人で精神科医の斎藤茂吉の妻・輝子さんは、夫亡きあと、80歳を超えても世界各国を旅行していました。

それもエベレスト山麓やアフリカなど、年齢を考えると周りがハラハラしそうな旅先です。しかしそんなことは歯牙にもかけず、好奇心のおもむくままに108カ国も訪ね歩いたそうです。

息子の北杜夫さんとの対談で、「偉大な人の妻っていうのは、みんな悪妻に決まっているんだもの」と開き直っているのが痛快でした。

まだまだ倫理観が強かった昭和の時代、道徳律や「年甲斐もなく」という世間の圧力とは無縁の生き方を貫かれたのはすばらしいと思います。

最近は、70歳を過ぎても、バイクを乗り回したり、ファッションを楽しんだりする人がめずらしくなくなってきました。髪を染めて、ジーンズをはいている高齢者がいたとしても、驚かれませんし、ましてや奇異な目で見られることもありません。

和田秀樹『みんなボケるんだから恐れず軽やかに老いを味わい尽くす』(SBクリエイティブ)

若い人たちからは、「カッコいい!」ともてはやされることさえあります。そういう時代になってきたのです。

「いい年をして」「年甲斐もなく」は高齢者を縛る「呪いの言葉」だと心得て、そんなふうに周りから言われるのを気にしたり、自分に言い聞かせたりしないで、おもしろそうだなと思ったことはやってみることです。

どうぞ、自分の欲望に素直に従って、やりたい放題、やってください。シングルなら恋愛も大いに結構。

せっかくここまで生きてきて、やっと手にした自由な人生を自ら手放してしまっては、もったいないことこの上ありません。

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