信念が伝え方のベースにある

できごとをどう捉え解釈するかは、自分がどんな信念を持っているかに影響されます。

信念は、自分では気づかないうちに、つけているコンタクトレンズのようなものです。

知らないうちに、これが普通だ、これが当たり前だ、というレンズをつけて世界や自分自身を見ているのです。

「なんだか話が噛み合わない」「何でそんなことをするのかわからない」と誰かに対して感じたり、「何回言ってもわかってもらえない」とモヤモヤしたりするのは、伝え方の問題ではなく、人それぞれ信念が違う(=見えている世界や当たり前が違う)からです。

その違いに気づくことで、コミュニケーションがうまくいくようになります。

違いに気づくには、まず自分自身の信念を知ること。

できごとについて「別の解釈」を考えてみると、自分の中に、ある信念が隠れていたことに気づきます。

「私の企画は、いつも通らないから、私には企画力がない。と思っていたけれど、もしかしたら、それは思い込みかもしれない。

だって、企画が通らないのは『いつも』ではない。先月は、時間はかかったけど、自分が提案した企画が通ったではないか。そう考えると、今日、上司に冷たく突き返されたのは、たまたま相手が急いでいたからではないか」

「私は自分に能力がないと思っているのでは。結果を出さないと価値がないと感じているのでは(信念)」

このようなイメージです。

信念自体に、いいも悪いもなく、ただ違うだけ

自分がどんなふうに、自分自身やこの世界を見ているのか、ものごとを捉えているかは、自分では当たり前すぎて、改めて言葉にしてみないと気づくことができません。

さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)

信念自体に、いいも悪いもなく、ただ、違うだけです。

どっちがいい・悪いとか、歪んでいるから変えなきゃいけないなんてことはありません。こんなふうに捉えている自分がいるんだな、と俯瞰してみて、違う見方もあったかもしれない、と気づくだけでいいのです。

信念が見えてきたところで、「今後もその信念を持って生きていくか」を自分で決めましょう。

そして、もし同じようなことが今後起きたらどうするか、今後はどうしていきたいかを「行動」として書き出します。

最後に、この一連のワークから見えてきた自分自身の「価値観」=人生において大事にしていること、大事にしていきたいことを書き出します。

それらを言語化する習慣がつくと、人の行動や言動に対しても、その奥にどんな信念や価値観を持っているかを想像できるようになっていきます。

少なくとも、「自分とは違う」と気づくだけで、コミュニケーションがしやすくなるはずです。

「相手の気持ちを考えろ」とよく言われますが、コミュニケーションがうまくいくためには、気持ちの奥にある信念や価値観をわかろうとすることが大事なのです。

はじめは、うまく書けないと思うかもしれません。

人に伝わるかを意識せず、まずは、自分だけにわかる言葉で書き出せばOK。

慣れてくるうちに、「この言葉ではしっくりこないから書き換えてみよう」「もっとわかりやすく書くには」と一つひとつの言葉を意識できるようになってきます。

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