「なんか」で終わらずに、「なぜ」「どこが」を考える

コピーライターの谷山雅計さんの著書『広告コピーってこう書くんだ!読本』に、「『なんかいいよね』禁止」というフレーズがありました。

あなたは、いい映画を見てドキドキしたり、いい音楽を聴いてホロッとしたり、いい小説を読んでジーンとしたりしたときに、しばしばこういう言葉を発してはいないでしょうか。
「なんかいいよね」「なんかステキだよね」「なんかカッコいいよね」と。
明日から、それをきっぱりとやめにしてほしいのです。そして、かわりにこう考えてみてください。
「なぜいいのか。これこれこうだからじゃないか」「なぜカッコいいのか。こういう工夫をしたからじゃないのか」と。

谷山さんは、「『なんかいいよね』で止まっているうちは、一生作り手にはなれない」と言います。

「なんか」で終わらずに、「なぜ」「どこが」を考える。

これは、作り手としての思考だけでなく、自分の気持ちを理解して言葉にすることにも、とても役立ちます。

「なんかいい」「なんか違う」に敏感になることで、その奥にある自分の価値観や感情に気づくことができるのです。

感情が動くとき、体の反応がある

感覚に敏感になる② 「思いをたどる日記」をつける

思いを言葉にする習慣の最後は、これまでやってきた「観察」と「口にする」「感覚と感情に敏感になる」を使って、「思いをたどる日記をつける」です。

夜に日記をつける女性
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

この日記は、日々の記録というよりも、「自分の思いをより深く観察して、言葉にするためのもの」です。

毎日つけるのが大変であれば、自分の感情がとくに動いたとき(落ち込んだ日や、イライラ、モヤモヤしたとき)に書き出してみるのがおすすめです。

まずは、そのできごとの「状況」を書き出します。

「私の企画はいつも通らないなぁ」と悩んでいたとしたら、その「いつも」がいつのことを指しているのか、何月何日何曜日の何時に何があったか、をエピソードとして書くのがポイントです。

そのときの状況を、詳細に書き出してみましょう。

次に「感情」を書き出します。

そのとき、感じたのは、どんな感情でしょうか。

嬉しさ、悲しさ、恥ずかしさ、情けなさ、楽しさ、面白さ、うきうき、しょぼん、がっくり、ワクワク、もやもや、イライラ、なんだかブルー、など書き方は自由でOK。そのときの体の反応も思い出してみます。

感情が動くとき、体の反応があります。実際に、体のパーツのどこに、どんな様子があったかを詳細に書き出してみます。

次に「思ったこと」を書き出します。

そのとき、自分はどんなことを思っていたか、文章で書く、というよりも、箇条書きで書き出していくのがポイントです。