高齢者が増え続けていることから、制度が始まった2000年以降、介護保険料は上がり続けてきました。2024年度から65歳以上の高齢者が負担する介護保険料は、全国平均で過去最高となり、今後もさらに上がると推計されています。
公的介護保険だけではありません。2008年に後期高齢者医療制度が創設され、75歳以上の高齢者は新たな医療保険料を負担することになりました。財源は公費5割、現役世代が負担する支援金が4割、高齢者の保険料が1割ですが、高齢者1人あたりの保険料は、2年ごとの見直しで引き上げられてきており、制度創設当初の1.2倍に膨らんでいます。
さらに先日参院で可決、成立した少子化対策関連法案に盛り込まれた「子ども・子育て支援金」が2026年から開始する見込みで、公的医療保険と合わせて高齢者からも支援金が徴収されます。
「民間保険の保険料」が老後の備えを削ってしまう
65歳以上高齢無職夫婦世帯の家計を調べてみると(※)、2000年の直接税・社会保険料などの非消費支出は年間約31万円でした。ところが2022年は約38万円と2000年と比べ約7万円のアップ。保険加入以前に、高齢者もすでに多くの保険料を負担しているのです。
※総務省統計局「家計調査年報」
社会保険料負担の増大で可処分所得が減少するだけでなく、最近は物価上昇で家計への圧力も高まっています。高齢化が進行するなか、この傾向が当面続くと考えるのであれば、さらに民間保険に加入して、長期にわたり保険料を支出し続けることには、まずは慎重であるべきでしょう。
ポイント3 認知症の人は自分自身で保険金を請求できない
認知症保険は、一定の認知症と診断されると、保険金が支払われる保険です。一口に認知症保険といっても保険金を年金形式で支払うタイプや外貨建てで運用されるものなどいろいろなものがあります。
認知症と診断確定されると保険金が支払われる診断一時金タイプを例にしましょう。これは、認知機能検査や画像検査で所定の認知症と医師に初めて確定診断されたとき保険金を受け取れ、保険金を受け取ると契約は消滅します。認知症の前段階といわれる軽度認知障害(MCI)で保険金を支払う商品もあります。