保険の要否を判断する「3つのポイント」
ポイント1 要介護となった65歳の人は誰でも公的サービスを受けられる
まず、認知症に罹患して介護が必要になったときには公的サービスを受けられます。
2000年、わが国で公的介護保険がスタートしました。これまで家族が担っていた介護を、家族ではなく社会全体で担うしくみで、市区町村が要介護と認定した65歳以上の人は、介護状況に応じたサービスをいつでも受けることができます。末期がんや脳血管疾患などの特定疾病に罹患して要介護となった40歳以上の人もサービスを利用できます。
公的介護保険では、ひと月に受けられるサービスの利用限度額が要介護度別に定められており、利用者はその1割~3割を、所得に応じた自己負担でサービスを利用します。サービスには自宅で受ける「居宅サービス」と、施設で受ける「施設サービス」があり、居宅サービスの場合、1カ月あたりのサービスの量(利用限度額)は図表1のとおりです。
たとえば、要介護3と認定されている場合、ひと月で27万480円を上限としたサービスを受けられます。よって上限額までサービスを受けた自己負担割合2割の人の月あたりの自己負担額は、27万480円×2割=5万4096円と計算できます。ただし、ひと月に支払った自己負担額の合計が所得区分に応じた限度額を超えると、超えた分が払い戻される「高額介護(予防)サービス費制度」があるため負担は軽減されます。
前述の例でみると、年収770万円未満の市民税課税世帯の自己負担上限額は4万4400円ですから、約1万円の払い戻しを受けられます。公的医療保険における「高額療養費制度」と同様、実際の負担がどの程度かは事前に把握できるのです。