日本の若者が子どもを欲しがらない理由
それが伺える調査がある。BIGLOBEが昨年2月に公表した「子育てに関するZ世代の意識調査」によれば、18歳から25歳までのZ世代の男女457人のうち45.7%が「将来、子どもがほしくない」と回答した。
そこで「ほしくない理由」を質問したところ、「お金の問題」と回答したのはなんと17.7%しかいなかったのである。その逆に「お金の問題以外」と回答をした方が42.1%にものぼっている。では、それは具体的にどんな問題かというと、この調査の中ですべて語られている。
「お金の問題以外で子どもがほしいと思わない理由」として多く挙げられているのは「育てる自信がないから」(52.3%)、「子どもが好きではない、子どもが苦手だから」(45.9%)、「自由がなくなる(自分の時間を制約されたくない)から」(36%)、「これからの日本の将来に期待ができず、子どもがかわいそうだから」(25%)である。
一見するとバラバラの理由だが、実はこれらの根っこには、日本の若い人たちが抱える「絶望」がすべて集約されている。それは一言で言いあらわすとこんな感じだ。
《若い人たちが1人で生きていくのもやっとの世の中で、日本や自分の未来に対してまったく希望が持てない》
「希望なき国」の厳しい現状
なぜ子どもを育てる自信がないのかといえば、経済的にも精神的にも自分1人で生きていくのがやっとだからだ。そんな風に生活に「余裕」がないので、他人の面倒などできない。子どもというのはどうしても手がかかるものなのでもってのほかだ。仕事で疲弊する中で、さらに自分の時間と体力を奪うであろう子どもに、苦手意識を抱くのは、生存本能のある人間の極めて自然な発想だ。
そして、「日本の将来に期待ができない」というのも根っこは同じで、「1人で生きていくのがやっと」という貧しい若者が多いからだ。ご存じのように日本は先進国の中でもズバ抜けて低賃金だ。日本には朝から晩まで働いても年収300万円もいかない「ワーキングプア」の若者が日本には山ほどいるのだ。
こんな「生きていくのがやっと」という日本の未来に期待などできるわけがない。近年、ワーキングホリデーでアメリカやオーストラリアなど日本よりも賃金の高い国へ「出稼ぎ」へ行く若者が後をたたないのがその証左である。そんな「希望なき国」の若者の中でも、さらに絶望が深いのが若い女性だ。