新薬の値段は年間298万円、他の病気があり投与できない人も

石浦章一『70歳までに脳とからだを健康にする科学』(ちくま新書)

それから、このモノクローナル抗体アデュカヌマブ、レカネマブ、ドナネマブを投与した実験では、一部の人の脳に副作用が出るのです。ちょっとした出血とか、脳がちょっと腫れる(浮腫、腫脹)のです。もっと大きな問題は、血管にアミロイド(Aβが不溶性線維たもの)がある人に抗体が作用すると、Aβがなくなると同時に血管が傷つき大出血し死亡するケースが見られたのです。

ということは、脳梗塞が起きて血をサラサラにする薬を投与している人には、新薬を使いにくいことが分かります。血管にアミロイドが蓄積している人も同様です。これを判定するのはなかなか難しい問題で、どういう人を治療対象にするかが、新薬の値段(2023年末に、年間298万円と発表されました)とともに、今後の治療のポイントになっているのです。

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