最初は私自身、運など偶然の産物だと考えていました。しかし自己啓発や心理学、偉人伝、仏教哲学……などありとあらゆるジャンルの書物を必死で読みあさるうちに、成功する人にはある共通する行動パターンがあるということ、そして、どうやらそれが彼らを幸運に導いているらしいことがわかったのです。

その行動パターンの一つが、早起きでした。以来、私は遅くても朝4時には起きるようになりました。

Kさんの失敗から学べる教訓とは

早起きする人は出社も早いのが通例です。日本信販時代や転職後のソフトバンクファイナンス(現・SBIホールディングス)時代を振り返っても、役員はたいてい始業2時間前には出社していたものです。

早朝出社にはいろいろなメリットがあります。車なら渋滞に巻き込まれずに出社できるし、私のように電車通勤の場合は、乗客も少なく、座ってゆっくり読書することもできます。オフィスはまだひっそりとしていて電話がかかってくることもなく、仕事に集中できます。しかも、朝のスッキリした状態で取り組めるので、疲れ切った夜の残業より断然パフォーマンスが上がるのです。

最大のメリットは、時間を前倒しすることで、突発的な出来事にも余裕を持って対処できることではないでしょうか。急なスケジュール変更、夜間のトラブルなど、ビジネスの現場では何が起こるかわかりません。身近な例では、こんなことがありました。

Kさんは、朝イチでまずメールチェックをするのが日課です。しかしその日は出社と同時に上司に呼び出され、パソコンを開く間もなくデスクを離れました。しばらくして席に戻りメールを見ると、そこには取引先からのトラブル発生の知らせ。すぐに電話したのですが、先方の担当者はKさんからの連絡がないことに業を煮やして、すでに処理に出かけた後でした。「しまった。30分早く出社していれば、先にメールを読めたのに……」と後悔しても、時すでに遅しです。結果として、Kさんは取引先からの信用をなくしてしまいました。

規定の就業時間には出社していたのだから、何が悪いのか? と思う人もいるでしょう。確かに、始業時間ギリギリの出社はルール違反ではありません。ただ、上司や取引先があなたにどんな印象を持つかにはルールはないのです。レスポンスが遅れたというたった一度の不手際でも、「大事なときに連絡がつかない、信頼できないやつ」「あいつはダメだ。使えない」などというイメージを持たれることもあるでしょう。そうなれば、最悪の場合、出世の道が閉ざされてしまうケースもあるでしょう。つまり、朝の行動が遅いというのは、これほど損することなのです。

ヒトとは本来、昼行性の生き物である

私たち人間もヒト科に属する生物である以上、根本的には自然界の法則に支配されています。エジソンが白熱電球を発明したのはわずか144年前です。600万年という長い人類の歴史から見れば、私たちが電気のある暮らしを謳歌しているのはまだほんの数秒程度の出来事です。それまでは、日の出とともに起き、日が沈んで暗くなったら休むという生活が当たり前でした。つまり、ヒトは「昼行性」の動物だったのです。

その記憶が、24時間稼働し続ける現代社会を生きる私たちのDNAのなかにも、組み込まれているのではないでしょうか。だからこそ私たちは自然に逆らわず、「昼行性」というヒト本来の生活リズムに合わせて生きることで、私たち自身のなかにある力を最も発揮できるというわけです。

私の日課は、早朝に起きてから1時間くらいウォーキングすることです。ウォーキングをすることで、しっかりと目が覚め、空腹を感じ、朝食がとりやすくなります。朝のウォーキングは、一日の始まりから、健康的な生活リズムを整えてくれるのです。

私は実業の世界に身を置いて約40年になりますが、私の知る成功した経営者や実力のあるビジネスパーソンは皆、朝早く起きて仕事を始めています。意識的であれ無意識的であれ、皆、早起きによって自分の能力が効率良く発揮できるという事実を知っているということです。

(構成=金原みはる イラストレーション=髙栁浩太郎)
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