「無難な線で」数値をひっそり下方修正
飲酒事故の被害者、遺族の中には、同様の疑問を抱く人が少なくありません。
2015年5月11日、大阪市中央区のアメリカ村で長女の恵果さん(当時24)の命を奪われた河本友紀さんは、実際に呼気アルコール検査結果のずさんな取り扱いを目の当たりにしたといいます。
河本さんは振り返ります。
「加害者は25歳の女でした。直前まで近くの居酒屋で仲間と酒を飲んでいたにもかかわらずハンドルを握り、駐車場から出ようとしたとき、車止めにぶつかって飛び出し一方通行を逆走。友人と自転車で走行中だった恵果をはねたのです。刑事記録を確認したところ、現場からは呼気アルコール濃度は0.25mg/Lだったと報告されていました。ところが、検知管に表れる着色の境界が読み取りにくかったらしく、0.25mg/Lで報告した3分後に、『無難な線で』という理由で、0.2mg/Lに低く訂正されていました。また、本来、境界線に貼るべきマークシールがまったく違う場所に貼られており、後から、担当警察官がシールの使用方法を間違えていたことも発覚したんです」