もし被害に遭ってしまったら?
レイプを含む性暴力では、ごく一部だけが刑事事件となるのが現状です。また、民事的請求が認められるものもそう多くはありません。その主な理由は、客観的な証拠が得られにくいことです。レイプは密室で行われることが多いため、目撃証言もない場合がほとんどです。
もし被害にあったときは、すぐに110番に通報してください。ほかにも、各都道府県警の相談窓口につながる警察の性犯罪被害相談電話「#8103(ハートさん)」や、全国共通で最寄りのワンストップ支援センターにつながる相談電話「#8891(はやくワンストップ)」もあります。
気持ち悪いと思いますが、なるべくシャワーを浴びたり口をゆすいだりはしないでください。
そのとき着ていた洋服も捨てないでください。体内、体の表面、衣服に、体液など犯人のDNAが残っている可能性があります。それらは有力な証拠になります。
不同意性交等罪などの場合、血中のアルコールや睡眠導入剤などの薬物を測定するために、代謝・排出される前に急いでワンストップ支援センターや捜査機関で検査をしてもらいましょう。刑事事件の証拠として役立つ可能性があります。
また、記憶にあることはメモして残しておきましょう。
時間や場所、犯人の特徴(体格、洋服の色、顔の特徴など)など、思いつくことを書いてください。できれば、信頼できる家族や友人にメールなどで共有しておくのが望ましいです。誰にも言いたくなければ、自分宛てにメールしておけば大丈夫です。このメモは、事件後できるだけ早い段階で残すほうが、刑事事件や民事訴訟になった場合の証拠価値が高くなります。
警察の協力病院に行けば無償で検査等が受けられる
もし被害にあったときは、できるだけ早く病院か警察に行くのが望ましいです。証拠保全や迅速な捜査にもつながりやすくなります。妊娠のおそれがある場合には、病院で「緊急避妊ピル」を出してもらいましょう。
「緊急避妊ピル」とは、事後的に避妊できる薬です。ただし、性交渉後、72時間以内に服用する必要があります。100%避妊できるわけではありませんが、早く服用すればするほど避妊できる可能性が高くなります。
性感染症に感染したおそれがある場合も、やはり病院で検査をお願いしましょう。警察の協力病院へ行くと、費用はかかりません。自分で支払っても、後日費用が戻ってくる場合があります。ほかにも、初診料やさまざまな検査にかかる費用、診断書の作成費が無償になる制度があります。できるだけ警察官やワンストップ支援センターの方に同行してもらって、手続きなどはその人にお任せしましょう。