夫婦であっても、同意のない性行為は犯罪になりえる
【CASE】
どうしても子どもがほしいのですが、夫が性行為に応じてくれません。夫が酔っ払っていたり寝ぼけていたりしていて意識がないときを狙って無理やり性行為をしています。
【ANSWER】
類型の③・④により、犯罪が成立する可能性があります。性別にかかわらず、加害者にも被害者にもなりえます。
刑法改正により、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪のどちらにも、「婚姻関係の有無にかかわらず」罪が成立することが明記されました。
ただし、家族内のことなのでそれを事件にするかどうかは、被害者の意思が尊重されます。特に子どもがいる場合、一方の親を犯罪者にしていいのかと悩む人は少なくありません。
なお、「婚姻関係の有無にかかわらず」というのは、「あらゆる関係で性犯罪が成立する」ことを意味します。つまり、事実婚、同棲、交際中のカップルなど、すべての関係において成立します。
「夫婦間ではレイプは成立しない」は誤解
・改正のポイント
改正前から、加害者と被害者が夫婦であるかどうかは、強制わいせつ罪や強制性交等罪の成立に影響しないと考えられており、裁判で夫婦間の犯罪が成立したケースもあります。
しかし、学説の中には、法律上の婚姻制度が継続的な性交渉を前提としていることを理由に、婚姻関係が破綻している場合に限って犯罪が成立するなど、犯罪成立の範囲を限定的に捉える見解もありました。
また、国民の中にも「性交渉に応じるのは妻の義務だから、夫婦間ではレイプは成立しない」という考え方が少なくありませんでした。その誤解を解くため、夫婦間でも性犯罪が成立することが、刑法の条文に明記されました。