10年前から韓国は物質主義の国だった
しかし、当時“清貧”を求めていた人たちは、再び家計債務によるマンション投資に命をかけるようになり、それが2000年代の韓国の経済発展を導いた「借金経済」の核心にもなりました。
10年前に移民されたなら2014年あたりですが、まさにそうした社会的雰囲気の真っ最中でした。記事の「友人」という方がどういう経緯で外国に出たのか、どういう価値観をお持ちの方なのかはわかりませんが、あくまで私の持論として、10年前にいまより韓国社会の物質主義が弱かったとは、ちょっと思えません。
ちなみに、このキム教授の見解のメインテーマは、韓国と北朝鮮の物質主義を比較したもので、韓国も北朝鮮も物質主義は強いけれど、そこには似ている点も似ていない点もある、というものです。
北朝鮮とは違う「お金がないと死ぬ」状態
北朝鮮の場合は「生き残る」ためにお金を確保しようとする側面が強く、どちらかというと物質(お金)を「幸せのために必要なもの(家族とともに生存するには必要なもの)」としながらも、「物質があるからといって成功できたわけではない(これで人生の価値が判断できるわけではない)」と考える側面が強い、としています。
一方、韓国の場合は、口では物質的に満たされていても幸せになるわけではないとしながらも、成功(経済的成功ではなく人生の価値という側面で)のためにはお金が必要だとする人が多いとのことで、個人的に興味深く読めました。
しかも、経済的には北朝鮮よりずっと発展しているはずの韓国が、それでも依然として「生存のための傾向」として物質を追求する傾向が見られるとのことで、これはつまり、韓国では仮に生存に必要な分の物質が足りていても、まるで「お金がないと死ぬ」といった考えに取り憑かれ、さらなる物質を欲しがる傾向があることを意味しています。
これは中国でも同じ傾向が見られ、儒教の影響を受けた国のなかでは、日本だけがどちらかというと欧米先進国に近い(物質主義的な考えがあるとしても、余裕のない「生存的」傾向は示されない)と言われています。先ほどのマーク・マンソン氏が指摘した「資本主義の悪い側面だけ強く現れている」というのも、同じ話です。