相手の気持ちにピタリと合った言葉を伝える方法

あなたが家電量販店で「どの空気清浄機を選べばいいだろう」と顎に手を当てながら迷っているときに、こんな風に言われたらどう思いますか?

店員「これだけ数が多いと、どれにするか悩みますよね?」

「よくぞ、わかってくれました!」という気持ちになりませんか?

実は、このように憶測で相手の心が読めているかのように話すことを、NLP心理学では「読心術(マインドリーディング)」といいます。

相手の気持ちにピタリと合った言葉を伝えられれば、「この人は私のことをよくわかってくれている!」と一気に心理的距離が近づきます。

もちろん、相手の言いたいことを汲み取れずに見当違いの言葉をかければ、不信感につながります。だから、相手をよくキャリブレーション=観察することが重要です。

これは、催眠療法のカリスマ、ミルトン・エリクソンが治療に用いた手法です。

「あなたは、少し神経質になっているようですが、この治療に興味を持ち始めたのかもしれません」と外見を観察し、自分の解釈を伝え、クライアントに注意を向けていることを伝えます。

「〜かもしれません」「〜でしょう」という言い回しで相手の気持ちを読み取り、同調することで、ラポール(信頼関係)を構築します。

尊敬や思いやりのない読心術は「上から目線」と化す

しかし、この読心術も言い方次第です。

藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)

妻「学生時代は30回ぐらいできた腕立て伏せ、昨日やったら1回もできなかったの!」
夫「だろうね。できるわけないよ。わかりきってるだろ?」
妻「……」

この夫の言い方は、「言われなくてもお見通しです」という上から目線な印象を相手に与えます。妻は共感してもらえず、嫌な気持ちになったのです。

自分に心の矢印が向いているとき、相手に影響力を与えることはできません。

もし、夫がこのとき、妻に共感して「できると思ってやったのにできないと、驚くよね」などと言っていたら、妻も「そうなのよ!」と会話が弾んだでしょう。

読心術は相手に対する尊敬や思いやりがなければ機能しないのです。

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