プロ野球にある独特の業界用語

主にカタカナ職業の世界には、独特の業界用語があります。テレビや広告の世界だと、例えば「テッペン」。午前0時のことで、残業が長引いて午前0時が近づくと「あ~今日もテッペン超えるよ~」と使うようです。終了時間が厳しく決められていたら「ケツカッチン」。ネタとして、銀座を「ザギン」、六本木を「ギロッポン」とか、逆さ読みにするのも業界用語なのでしょう。

これ、プロ野球の世界にもあります。いくつか、使用例を含めて紹介しておきます。

・地獄

使い方は「いいよ~地獄地獄~」とか。ベンチから、守っている味方の野手に向けて使われる言葉で、打球がそこに飛んだら絶対アウトにできる。バッターは生きて帰れないから地獄。つまり、守備がめっちゃうまい人、鉄壁の守備職人をほめる場合に使います。

ぼくが所属した2つの球団では普通に使っていたし、ほかの球団もそうじゃないかと。ぼくに対して使われたことがあったかは……よく覚えていません。

・自衛隊

使い方は「あの選手、自衛隊だな」。国を守る存在から転じて「守備で貢献できる選手」として表向きは使います。変な取り上げられ方をしたら嫌だと思い、ユーチューブでは省いていましたが、裏には「打つ方では期待できない選手」という意味もあります……。

写真=iStock.com/JohnnyGreig
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「2年目のジンクス」が生まれるワケ

・ヤリ(槍)

使い方は、ベンチからなら「へいへい、そのバッターヤリヤリ」。味方のコーチからなら「お前、本当にヤリやな」。これは「ストレートにめっぽう強いバッター」という意味です。ほめてるともいえますが、逆に「変化球には弱い」というニュアンスも。ベンチからの「そのバッターヤリヤリ」は、「変化球には弱いからな~」と、バッテリーに対して再確認する意味もあります。

・マウス

ネズミ(Mouse)ではなく、口(Mouth)のマウス。使い方の説明は難しいのですが、「マウス?」。ビッグマウスというか、日本語のニュアンスだと「言うよね~」的な。

例えば、ホームランを打ったバッターが「ちょっと詰まったけどうまく打てた」と話したら「マウス?」。「言うよね~」と、ちょっと茶化すようなイメージです。ぼくのまわりでは、けっこう使っている選手がいましたね。

プロ野球の業界用語のついでに、ジンクスについても少し。いろんなジンクスがあり、有名なのは「2年目のジンクス」でしょう。ルーキーだった1年目に大活躍した選手が、2年目に成績をガクッと落とすと、こう言われます。実際にあるかというと、相手チームから研究されるし、マークも厳しくなるので、ある程度はありだと思います。