コレステロールは行動意欲の源泉

実際、当時は150mmHgくらいの血圧で脳出血を起こした人が多かったようです(いまは、このくらいの血圧で脳出血を起こすことはほとんどありません)。

秋田県では、昭和60年代まで脳卒中が死因のトップでしたが、塩辛い漬物とご飯が中心で、タンパク質の少ない伝統的な食生活が大きな要因でした。

その後、減塩運動が進められたことで、秋田県では脳卒中が減少しました。ただ、その理由について、減塩ばかり強調されますが、タンパク質の摂取量が飛躍的に増えている点も見逃してはいけません。

和田秀樹『頭がいい人、悪い人の健康法』(PHP研究所)

しかも、タンパク質が不足していた頃の秋田県は、全国的に見て自殺が目立って多かったのですが、これも減少しています。肉を多く摂取するようになって、セロトニンや男性ホルモンが増え、うつに陥りにくくなっている面があると考えられるのです。

肉に多く含まれるトリプトファンはセロトニンの材料ですし、コレステロールは脳にセロトニンを運ぶことにかかわっています。

さらにいえば、コレステロールは、男性ホルモンであるテストステロンの材料です。

男性ホルモンは活力の源泉であり、男女どちらの体でもつくられていて、行動意欲に大きくかかわっています。

肉に含まれているコレステロールを目の敵にしている人もいますが、人間にとって必要な栄養素であることは忘れてはいけません。

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