「何気ない一言」でモンスター社員に
ここで顧みたいのは、A先輩は凶悪なモンスター社員かどうかという点です。
モンスター社員には明確な定義はありませんが、いくつかの特徴があります。例えば、配慮に欠ける言動、著しく能力が不足し職務が全うできない、社会常識や組織のルールが全く通用しない、暴言や嫌がらせ等のハラスメント行為をする――などが挙げられます。共通しているのは、その人の言動により、職場の雰囲気が著しく阻害され、周囲が疲弊し、業務の生産性が下がることです。
一方で仕事には、あたりまえに納期があります。納期を見据えて、進捗を管理しフォローに入るのは上司の業務です。うまくいっていないのであれば、原因を調べて、時には注意して、業務を再配分して信頼に応えていくことが組織のミッションです。
今回の場合、A先輩は、常識はずれな言動や暴言もなく、遅延に対してフォローもしています。いたって通常の業務指示と注意指導です。
しかし、指導の中での一言が発端となり、新卒社員のメンタルが不全になり、その後の指導状況も影響し最終的に退職に至ったという事実があります。もしかしたら、他にも本人は悪気なくとった言動が空気を凍らせ、職場のモチベーションを奪った瞬間があったかもしれません。
実際に約4割の社会人が「自分の会社にモンスター社員がいる」と答えている調査があります。当人にそのつもりはなくても、何気ない一言でたちまちあなたもモンスター社員枠にはいってしまう可能性があるのです。
新卒社員に言ってはいけないNGワード
ここで、上司がそんなつもりではなかったのに部下に刺さりすぎてしまって、最終的に職場の雰囲気が悪くなってしまう、生産性が下がる「これダメだったの?」というNGワードをご紹介します。前提として、「お前はだからダメなんだ」「何しに来たんだ」「やる気あるのか」といったような人格否定を感じるワードはそもそも論外ということはご認識ください。
「前にも言ったよね」「これ何回目?」「こっちでやるからもういい」
これは前述の事例の通りで、これを言われてしまうと、次からわからなくても誰にも聞けない状況になります。言い出せない状況はミスの温床になり、そのミスすら言い出せないという悪循環が生まれるので、要注意です。最初から仕事ができる人はいません。回数と経験が正確性とスピードを生みます。「もう一回説明させて」「ここ苦手そうに見えるから一緒にやってみよう」などと言い換えて、受け入れてもらえる安心感を持たせることが重要です。