やりくりは脳トレゲームとして面白がる
「やりくり」「節約」などと聞くと、それだけでイヤな気持ちや暗~い気持ちになってしまう人は少なくないかもしれません。
しかし、年金生活者のあなたはこの先も「ひとり」で生きていくのでしょうから、そうそう他の収入は見込めません。だとするなら、この先もずっとずっとイヤな想いを抱えたままで生きていかなければならないのでしょうか。
そうではありません。ここはひとつ発想の転換をしてみましょう。「やりくり」や「節約」を苦しいととらえるのではなく、「脳トレゲームとして楽しんでいる」と考えてみませんか。
「やりくり」をしながら生活していけば、必要以上の贅沢はしないでしょう。嗜好品のお酒などは減らせるかもしれません。
さらに、毎日のように生活費を計算していれば、脳が衰える暇もありませんから、いつまでも元気で長生きできる可能性もぐんと高まります。
「足るを知る」という言葉があります。中国古典で有名な老子が残した「自勝者強」(自ら勝つ者は強し)という言葉に由来し、「満足することを知っている者こそが、本当に豊かで幸せな人だ」という意味です。
つまり、年金が少ないから生活が苦しいと、不満を言っていても幸せにはなれません。じつは、医学的にも不満や怒りが強いと、コルチゾールというストレスホルモンが大量に分泌されることがわかっています。
コルチゾールには脳細胞を死滅させたり、免疫力を衰えさせる働きがあり、不満や怒りを感じれば感じるほど不健康になります。
現状を素直に受け入れて、「やりくり」や「節約」をゲーム感覚で楽しんで生活してほしいと思います。
お金がなくても、やる気があれば学ぶ方法がある
ある日の昼休み、散歩をかねて病院の周りを少し歩いた後、近くのカフェに入りました。すると、シニアミセスとおぼしき3、4人が盛大なおしゃべりの花を咲かせていました。
どうやら、話題は共通のミセス友だちについてのようです。その友だちは数年前からフラダンスを習っていて、近いうちに発表会があるらしいのです。ひょっとして、見にきてほしいと誘われているのでしょうか。
「いいわよねえ、彼女は。私なんか、お稽古事するお金なんてないわ」
そのうちのひとりがこう言うと、別のひとりも応じます。
「年金暮らしですもの。私だって、そんな余裕ないわよ」
でも、テーブルを見ると、飲み物以外にスイーツも並んでいます。本当に厳しい暮らしを強いられているのだったら、カフェでお茶というわけにはいかないでしょう。
たしかに、年金暮らしが経済的にけっこう厳しいというのは本音でしょう。
だからといって、お金が足りないからという理由で、自分のやりたいことをあきらめてしまうなんて、せっかくの人生経験が泣いてしまいます。
そんな毎日では、残りの人生があまりにももったいないと思いませんか。
「やる気さえあれば道はある」と信じ、やりたいことを実現する方向に動かしていく――。
そういう知恵を持ち合わせているのが、経験豊富なシニアではないでしょうか。
逆に言えば、ふんだんにお金をかけて学ぶことは誰にだってできます。
費用のかからない“学びの場”を探すこともひとつの方法なら、学ぶための資金をどうにかして捻出するために知恵を絞るのも、これまたひとつの方法でしょう。まずはお金をかけないで学ぶ方法を探してみるのはいかがでしょうか。